選挙の結果に思う

大阪市長と府知事選のW選挙は、維新派の二人が圧勝しました。維新派を支持しない立場でありますから、まったく残念至極でありますが、選挙の結果は厳粛に認めざるを得ない。

維新派の勝因を考えると、まずはワンフレース・キャンペーンが奏功した。「大阪都構想」という絵空事をまくし立てて、なにか市と府が劇的に様変わりするかのように訴えた。声高に提唱しているご本人が、中身はこれからだと先送りしている空っぽの構想にこれほど浮かれる連中がいるとは!!。この手法は、元首相の小泉純一郎が、郵政民営化一本槍で、「日本が変わる」、「日本を変えよう」と国民を煽り立てたやり方と同じ。あれから(2007年)から5年経ちますが、日本が変わりましたか。冷静の考えれば、郵便局をいじって日本が変わるわけがないじゃないかと自民党の元幹事長、加藤紘一が最近語っている通りだ。大阪の多くの有権者はまたこの手法にのせられた。

ついで維新派は、無党派の投票を必死で促した。都構想に反発する勢力を敵と見立てて激烈な攻撃をしたあと「投票に行ってください」」と呼びかけた。投票率が上がることは、風評や気分に左右されがちな浮動票を掘り起こすことにつながる。なにかやってくれるかもしれない幻影を振りまいた結果、投票率は維新派の思惑通り、市長選で60.9%(前回比17・31ポイント増)、知事選で52.38%(前回比3.93ポイント増)と上がった。大阪のような大都市で投票率が6割を超えるというのは驚異的です。こうして掘り起こされた票は維新派に流れたと思われます。流れた浮動票のみなさんが、失礼ながら、大阪都構想をちゃんちゃんと理解していたかどうか、わからない。だって中身がないんだから。賛意を表したのは、おもしろそうな絶叫イメージに対してに過ぎないんじゃないの。

さらに、維新派がうまく上昇気流に乗れたのは、いまの政治の現状があまりにも惨憺たる様相にあることが影響しています。国民の多くが政権交代に託した民主党政権が期待を裏切るお粗末さ、野党第一党の自民党の不甲斐なさに国民は不信感を強く持っています。多くの有権者に巣食っているやり場のない閉塞感。そういう世相にあって、威勢がいいキャンペーンが有権者の心を捉えたのだろうなと思います。この点の選挙戦略は巧みだった。既成政党は、まったく手をうった気配さえない。かろうじて共産党が、独自の危機感で戦術を大転換させたのが目立つ程度です。

これから維新派は、絵空事に現実の絵を描いてゆくわけですが、府と市を解体して、「新都」にしたときに、「新都民」の暮らしは良くなるのか、住みやすくなるのか、維新派代表が4年まえ知事選に挑戦したときのスローガン、「こどもが笑う街」になるのか、そうした一番重要なことが一切触れられていない。だいたい、表札を市や府から都に変えただけで、豊かになる経済や財政がどうやって降ってくるのか。そういうことには維新派は関心がないみたいだし、当選後の会見で一期で辞めると公言しているから、見届けるつもりはハナからないみたい。

ご当人からバカ新潮呼ばわりされている雑誌「新潮45」12月号では先月号に続き「続 危険な政治家橋下徹研究」を掲載している。精神科医、野田正彰は、北野高校時代の恩師が橋下をして「嘘を平気でつく。バレても恥じない。平気で他人が傷つくことを言い続ける」との記憶を再三引用している。暴利とあくどい取立てで問題になった「商工ローン」の顧問弁護士をやり、債務者を追いつめて示談に持ち込むのに精を出したことも紹介している。傍目には首を傾げざるをえない評判や事績の持ち主が、いまも本質的に変わっているとは思えない。

TVカメラが向くと満面の笑みをしてみせることがクセになったような、この維新派代表の個人的な権力欲、名誉欲(政治家志向のモチベーションと本人の言葉)を有権者の多くが寄ってたかって叶えてやった選挙でした。そう遠くない未来に、小泉郵政化のように失望しなければいいのだが、その前に無分別な既成政党が維新人気にスりスりして、動くような事態になれば、しばらくは、そっちが注目されるだろうな。

大阪市長、府知事選挙世論調査

今朝の新聞報道(電子版を含む)によると、大阪府知事、大阪市長選挙の世論調査の結果を発表しています。
それによると、朝日、毎日、読売の三紙は、そろって知事選ではマツイ、市長選ではハシ下が先行しているとありました。

ハシ下を支持しない立場ですので、この世論調査の結果に大変残念なことです。ただ、選挙戦はまだ、あと6日ありますし、各紙とも「まだどちらとも決めていない」人が多くいると伝えている。これは事実がそうであろう。今ひとつは世論調査の結果はフタを開けて、違った結果になったときの、調査側に具合のいいエクスキューズになるものだ。いわゆる浮動票というのは、本気で決めかねている人もいれば、気まぐれな気分の有権者もふくんでいるし、意外にそういう有権者の数が多いのです。そういう有権者は流動的なのです。

こうした選挙世論調査は、自身でも携わったことがあります。一つの選挙選で、各紙の結果が正反対になったことも経験しました。国レベルの選挙でも、事前の輿論調査とまったく異なった結果が出たこともありますから、この手の世論調査には全幅の信頼は置けない。選挙戦途中の形勢判断の一つの資料にすぎないと思っています。

それにしても、TVタレント人気に頼り、刺激的、攻撃的な言説で世間を煽るやり方が、有権者にとって耳に心地よいというのは、アブナイな。あの人なら、なんかしてくれるかもしれないと思うのかな。知事時代でも、言いたい放題でマスコミの注目を浴びたけれど、大きな借金財政を残しただけで、あとは放り出している。それにもかかわらず、一定の支持を集めているのは、不景気や閉塞感が強い憂世に、チカラ強いヒーローを待望する気分が蔓延しているのかもしれない。

改めて思うのは、マスコミ露出度の高い者が、知名度で優位に立ってしまうという情報化時代の状況ですね。選挙という方法が人気投票に変質していることは周知の事実。その意味では、選挙はもはやスタート前からマスコミ知名度のあるものが優位にあり、平等公平なスタートではありえないことになっていますね。

そういう選挙で選ばれた者が、全ての民意は、我にありと勘違いする。そして勝手な言説や提案をしても、民意の現れだと強弁すれば、仕方なく受け入れざるを得ないときがある。なぜなら、選挙で指導者を選ぶという方法の筋論では、そうになるからである。仮につまらんヤツが選ばれても、それは民意の断片である。ほかに有効な民意をうつす選び方がないんですね、いまのところ。

そんな空虚な風に当たらぬところで暮らしたいものです。

反維新 共産党の戦略

今朝の新聞報道によると、今月末の大阪市長選に立候補を表明していた共産党候補が、立候補を撤退するということです。これは共産党としては異例の判断ですが、近来、稀に見る賢明な選挙戦略ですね。大いに歓迎します。

なぜ選挙間際になって、取りやめるかと言えば、独裁政治を目指す橋下候補(予定)の足を公然と引っ張るためだそうです。ぶっちゃけていえば、共産党は独自では勝ち目のない大阪市長選挙に出ますと、結果として反維新勢力の票を分断することになるので、この際、立候補を見送り、反維新力を結集しようということだと思われます。平松候補(予定)を推薦したり、支持表明をする訳ではないが、共産党票を反維新戦線に回したいということでしょう。

共産党は、いま大阪市会に8人の議員がいます。この春の市議選では共産党票は合わせて11万300票。10年の参院選比例区では10万票を獲得している。この票勢からして、大阪市内の有権者でざっと10万票の基礎支持層がいるものと思われます。この人たちが、行き場を失った票を反維新候補に投票すればいい、という読みでしょう。

共産党の選挙戦略はながく衆院選でも全選挙区に立候補を立てていた。まったく勝ち目のない情勢なのに全区立候補を擁立する狙いは、党の宣伝、党勢の数値把握、党員ならびにシンパの結束強化などが、主たる理由だと思われますが、その一方で、野党票を分断していた。共産党を含む野党票が結束していれば、たとえば、唯我独尊の保守頑迷候補に勝てていたケースは枚挙にいとまがない。自治体の首長でも衆院選挙区でも、そうした事例が多くあり、共産党の選挙戦略は結果として、たとえば、自民候補の当選を支えていたことになりました。こうした選挙戦略に近年、批判が集まり、衆院選では全区立候補をようやく見直しています。

大阪市長選のような大きな選挙で、共産党が独自の候補を取り下げてでも橋下候補の当選を阻止しようというのは、よくよくの危機感の現れだと思います。橋下さんは、知事の現職時代に「政治は独裁でなければならない」と
公言しています。橋下候補は、持論の大阪都構想を独裁で実現しようというハラのようです。

いまの世に、このような反民主発言をする橋下候補について、雑誌『新潮45』11月号では「危険な政治家、橋下徹研究」を特集しています。

そのなかで、こんな記述があります。『孤独なポピュリストの原点』(上原善広)では高校時代のラグビー部員だった同窓生が「彼は要領がいい、サボリで、平気でウソをつく」と語っていますし、『大阪府知事は病気である』」(野田正彰)は、幼少期からの橋下候補の言動を分析して、彼は自己顕示欲型の人格障害者と診断しています。あるいは『盟友・紳助が抱える時限爆弾』(一橋文哉)は、橋下候補が政治活動費で「寿司はせがわ」(はせがわは紳助の本名)で夕食をとっていることや紳助が引退会見をした夜遅くに橋下候補が慰労のメールを送っていることを明らかしています。警察から組織暴力団の「芸能舎弟」と認定されている紳助の持ち番組の出演したことから大衆迎合の人気を得た橋下候補の危うさを浮き彫りにしたいます。紳助に刑事責任を問うような事態に発展すれば、いっそう両者の関係が明るみの出るかもしれません。

まあ、視野をおおいに広げて言えば、一地方の知事、あるいは一政令都市の市長候補が、政策や選挙戦略や人格について、これほどマスコミの批判を浴びるのは、珍しい。まことに、おかしな異常な話です。橋下候補が、仮にも大阪市長の座にすわりますと、次は平然と任期を放り出して、国会への進出を図るでしょう。彼はヒトラーを崇拝したいるそうですから、独裁政治の首領を目指すにちがいありません。こうした悪夢を見ないですむような成り行きを切に望んでいますね。
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