世間を賑わす三題話

近頃、世間を騒がせているのは、デング熱とテニスの錦織と朝日新聞たたき。
もっとも騒いでいるのは、テレビはじめメディアの方。
ただ、騒ぎ方が尋常ではない。

その1、デング熱を媒介するヒトスジシマカは日本にもいますが、刺されてもデング熱を発症しないタイプ。熱帯産のものが、代々木公園あたりで見つかったのは、温暖化のせいで棲息できるようになったのか、旅行者のバッグなどに紛れて渡来したものか。人から人へ感染しない一過性の病気だし、秋になれば棲息できないから、それほど恐れることはないtと思います。

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発症件数でいえば、昨年の方が何倍もたくさん出ています。国立感染症研究所のHPデータによると、昨年は全国249件。そのうち大阪でも33件あります。すべて渡航経験者です。これが騒がれずに今年はむやみに大騒ぎするのは、どういうわけか。棲息しないはずの媒体蚊が見つかったことにあるのでしょうが、生死にかかわる疾病ではない。恐ろしいのは、本当に温暖化のせいとしたら、日本の熱帯化の予兆かもしれない。その気候変動の方が怖いが、メディアの騒ぎ方には、そっちの観点はありません。

こんなバカ騒ぎ方に疑念を持ちますね。話題を作り、メディアと人々の関心がそっちに向いている方が都合がいい。そういう策謀を考える者が権力の側にいます。沖縄辺野古問題や原発再稼働、景気失速なんかがTV画面や紙面が埋まることを毛嫌いしている連中がいます。

その2、錦織圭の全米オープン決勝進出は、テニスの世界にあっては素晴らしい快挙です。しかし、四大大会は毎年やっていますが、これほど決勝進出が騒がれるのは、彼の国籍が日本人だからにすぎない。こういうヒーローが現れると、多くのメディアと人々は、急に同胞愛に目覚めます。

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それが証拠にテニス通以外の人は四大大会での歴代の他国の優勝者の名前さえ知らない。ふだんテニスになんの愛着もない人たちまで浮かれています。錦織は13歳、中学の途中からアメリカにテニス留学、向こうのコーチの指導を受けて大成した選手。日本人であることが大成に結びついたわけではない。五輪といい、他の国際大会といい、人物の国籍だけで熱狂する気が知れない。

そんなことより、興味深いのは彼の半生記。13歳の少年が、ひとかどのモノになるかどうか、まったく未知の未来に向かって一芸成就のために単身渡米して挑戦するという意気込みのすさまじさ、そして頂点が手に届くところまで成長したという努力と熱意。これには賛嘆をおしみませんけど、裏返せば、体育会系がはびこる日本にいたら大成しなかったかもね。

その3、朝日新聞は、めちゃめちゃに叩かれています。みっともないことに、読売や産経など同業他社は紙面で論難するほかに、朝日叩きを販促の商機とみて部数拡張にも利用しているらしい。文春(月刊誌も)や新潮などの週刊誌はこぞって朝日叩きの記事を満載しています。

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こうした事態を招いたのは、朝日新聞が過去の従軍慰安婦報道の一部を訂正した特集記事を掲載したからです。閑人は、なんでいまごろ、そうした記事を発表するのか怪訝に思いましたが、この訂正記事に火が付いた。さらに続報の補足記事や池上彰のコラム掲載拒否という一連の対応が油を注いでいます。

朝日の訂正記事は、次の二点です。
一、済州島で慰安婦にするため強制連行したという吉田清治の話は事実でなかったので、取り消す。
一、当時、勤労動員をかけられていた挺身隊と従軍慰安婦を混同していた部分があった。

閑人もこの業界の事情に少しはわかっていますが、32年もまえの報道について訂正記事を掲載しようとした背後にどんな事情があったのか、これは不可解なこと、真意がわかりません。ありていに言えば、誤報、虚報、誤った観測記事を出さなかったメディアはないでしょう。もちろん、あってはならないことですが、スネに傷もつことが十分にありうる業界です。いま朝日叩きをやっている側もわかっているはずです。

ですから、朝日の訂正記事をオニの首をとったように喜び、だから従軍慰安婦なんかいなかったのだと論点すりかえで朝日叩きの大キャンペーンを張っている読売、産経ほか週刊誌、月刊誌は見苦しい。この国のメディアのトップ、クオリティー・ペーパーの代表と目される朝日に対する妬みや対抗心も合わせて、権威引きずり下ろに躍起になっているようです。リベラルを嫌悪する右翼メディアが、この際とばかり叩いています。

右翼メディアは、過去の日本の歴史について修正主義的な立場をとっています。要するに歴史認識において事実と向き合わず、自分たちの立ち位置に都合がいいように歴史を歪曲します。まるで「明るく、清く、正しく」といった教室の努力目標にあるような自国の歴史だったと理解することでナショナリズムを満足させているようです。どの国にも、あるいは家庭にも、外聞をはばかるような事柄の一つや二つはあるものです。それを覆い隠して、クサいものにフタをしても始まりません。

朝日非難は、こんな調子です。
・従軍慰安婦そのものはいなかった
・世界に国辱を報道した
・嘘つき新聞は廃刊せよ、
などと喚き立てています。

朝日が吉田清治という怪しげな人物による「済州島慰安婦狩り」の詐話をマに受けて、報道したのは間違いだったことは明白です。しかし、先の大戦のさなかに国と軍部が関わり慰安所が設けられ、多くの慰安婦が軍とともにあったというのは事実です。それを裏づける資料があります。朝日はこの点については当然なことにこれ訂正していません。

そうした女性の人権無視があった事実まで覆い隠そうとする右翼メディアの意図はどこにあるのか。朝日のつまずきをこれ幸いとばかり、叩けば売れる、視聴率が上がる。そんな商業主義も思惑にあるのでしょう。

朝日叩きを掻き立てるメディアを一番喜んでいるのはアベ一派でしょう。アベ一派は朝日に遺恨を抱いています。リベラルで反戦の朝日を目の上のタンコブ視しています。朝日叩きに夢中なメディアは、結果として、アベ政権がもくろむ言論支配に加担しつつ、気がつけば政権翼賛報道しかできない戦前の愚行にからめとられることでしょう。

それにしてもメディアは、攻勢には強いが、守勢にはもろい。朝日も同じです。

(写真はGoogle引用)

追記 上記を掲載した夜、朝日新聞の社長が記者会見、福島原発発生時の東電対応についての誤報と慰安婦報道の一部誤報、さらに池上原稿の掲載拒否判断の誤りについて謝罪しました。朝日の信頼回復には非常に時間を要すると思います。政府はこの際とばかり朝日つぶしをたくらむでしょう。また政権御用のマスメディアが、過剰な朝日叩きに走るでしょう。言論の自由を封殺するような策謀や言説に要注意です。
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