オバマ所感を読んで

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閑にあかして、オバマさんのヒロシマ所感を全文読んでみました。
そこにあるのは、あるべき理念の話ばかり、核廃絶への実効ある具体策がない。
社会の矛盾に良識あるふうな発言をしながら、何もしない学校教師か牧師かのように説教したのに過ぎない。

述べていることは、7年前のプラハ演説*1と同じです。ノーベル平和賞をもらった、あの「核なき世界へ」のことです。つまり、同じことを焼き直して、万感こめたふうに話しているだけです。あれからの歳月を思うと、空疎感に包まれます。

所感のなかで、いま54才のオバマさんは、自身が生きている間には、この目標を達成できないかもしれないと逃げています。それほど核なき世界を目指すことがむずかしいと留保条件を付けるということは、ほぼ永久に無理だと言っているのと同じです。世界最強の核保有国のリーダーにして、こういう認識です。

プラハ演説でオバマさんは、こう言ってました。「拡兵器を使った唯一の核保有国としての道義的責任」として、平和で安全な世界を希求することを誓う。そして今回もヒロシマ所感では、「広島と長崎は、核戦争の夜明けではなく、私たちの道義的な目覚めの始まりであるべきです」と結んでいます。

実はプラハ演説のなかでもオバマさんは,まだ47才だったのに、「おそらく私が生きている間には無理であろう」と見通しを述べています。生きている間には無理というエキスキューズをさしはさむことが、オバマさんの変わらぬ認識であることがうかがえます。それほど現実が厳しいという認識であるとするなら、だからこそ、国家的威信、人類への責任をかけてやるというべきだったのに、、。

というようなわけで、オバマさんは、原爆投下やさらに現実の核兵器製造、保有、使用の問題について、これを「道義的な責任」レベルとしかとらえておらず、実際の世界政策の上ではなんら有効な手立てを講じなかった。

オバマさんは、よほどいいスピーチライターを抱えているのか、選挙演説がとても上手だと言われてきましたが、核の問題に関しても「そうであればいいのになあ」という多くの人の期待感を巧みに盛り込んだ選挙演説みたいなものであったようです。

オバマ政権はいま30年計画で110兆円の予算を計上し、老朽化した核兵器すべての開発更新化を進めています。要するに、もっと性能のいい、使い勝手のいい核兵器にしようとしています。つまり、核の軍拡競争をやっています。アメリカは核拡散防止条約の国際交渉にはいつも難癖をつけています。、

核の軍拡競争を推進するのが、北朝鮮やテロ集団、あるいは中露の核兵器を想定したやむ得ない防衛措置だというのなら、まったくオバマさんが生きてる間どころか、永久に実現しないことになる。この問題を少しでも解決するために、言い出し兵衛が妥協なり譲歩なりが必要ですが、オバマさんは言ってることとは逆の振る舞いをしています。

閑人は、原爆慰霊碑のまえで、被爆代表者らがオバマさんにハグされて、感涙にむせんでいるのを映像で眺めていて、非常な違和感を持ったものです。拡廃絶、核軍縮に特段の努力をしなかったオバマさんとの対面が、そんなに感動的なことなのか。御対面に涙するほどのことか。みんな情緒に流されています。醒めた人はいなかったのか。

今朝の毎日新聞の報道*2によると、核兵器廃絶を目指す医師らで作る国際組織「核戦争防止国際医師会議」(ippnw・本部ニューヨーク)は、広島訪問について「核兵器は二度と使わないと確約しなかったことに深く失望する」。さらに「1兆ドル(110兆円)にも上る核兵器投資計画を断念するとき、あなたの約束は初めて意味を持つ。それまでは空っぽの美辞麗句にすぎない」と喝破しています。

閑人が抱いた違和感の元はこれです。溜飲の下る見解です。田舎の町村会議員にしろ、世界舞台での政治指導者にしろ、政治家と称する輩による単に美辞麗句で理想を口にし、期待感を煽るような有言不実行には、もう飽き飽きしています。

 ちなみに広島でのアベ演説の全文も読みました。なんら感興も起きなかった。オバマ訪問を外交努力のように言っていますが、本当は逆です。G'7ついでに、オバマさん側から言いだしたことを、大慌てで受け入れたのにすぎない。

唯一の被爆国である政府なのに、アメリカの顔色を窺って核拡散防止条約交渉にすら、アメリカに同調して、ずっと「棄権」しています。アベはオバマさんのヒロシマ訪問を支持率上昇に利用したい、参院選に役立てたいとしか念頭にないようです。こんな人物から通りいっぺんの「哀悼の誠」をささげられて被爆者は満足しているのかどうか。

(写真はGoogle画像検索から引用)

*1 オバマ大統領のプラハ演説全文は、Wikipediaで検索できます。
*2 2016年5月31日 毎日新聞朝刊 「行動なければ美辞麗句 オバマ大統領広島訪問」

一日古本屋さん

古本市という名のフリマに参加、古本屋の”因業おやじ”という仕事を経験しました。

閑人が若いころ通った古本屋さんには、たいてい店の奥の帳場に二コリともしない、メガネのおっさんが座っていた。このおっさんの不審尋問しているような視線が苦手だった。よく通ったのは、当時、国鉄といわれた駅の壁に張り付くようにあった、おばちゃんが開いていた小さい古本屋でした.。おばちゃんの熱心な勧めで、三島由紀夫をよく読んだことを思い出します。

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さて、フリマは、古い町並みにある日本酒の酒蔵跡が会場です。高い天井を見上げると、年代物を感じさせる太い梁がむき出し、それを支える柱も頑丈な大木の幹。蔵の真ん中あたりに大きな円形の古びた板がおかれています。ベンチにちょうどいいのだが、これば酒つくりの樽の蓋であったと訳知りがしゃべっていました。普段は使われていないところだそうだが、小さなコンサートや演芸や美術作品の展示などにも使えそうな雰囲気の建物。

古い町並みを元気づけようと懸命な地元の女性たちの働きがあってか、二十数店が集まりました。主催者から提供されるリンゴ箱一つが、古本屋ごっこのショーケースです。閑人は、自著もふくめて登山関連の文庫や新書を並べて、開店しました。出店者は酒蔵の壁の沿って並び、奥の一段高い舞台のような一角には、コーヒーショップやオーガニックのパン屋さんが出店しています。

出店者たちは、女性の方がだんぜん多い。コロコロ付の旅行鞄を引っ張ってきて、小さな組み立てイスにひざ掛けをしてすわっています。手際がよいのに感心します。おそらく、あちこちのフリマに参加しているのだろう。並べている本は、もっとも多いのは文庫本のようだったが、ファッションや趣味の雑誌のバックナンバーやマンガ本、絵本などさまざま。

ところで、肝心のお客さんのことですが、なかなか千客万来というわけにはいかない。お天気もよかったので、散策の人たちは多かったようですが、街並みはずれに位置する酒蔵までは足を運んでもらえない。お客さんでわっと盛り上がるようなにぎわいを予想していたので、拍子抜けの感じ。

ともあれ11時から16時までの開業時間、閑人の店では7冊のお買い上げがありました。初フリマとしては、出来がいいのか、不出来なのかわかりません。ここに書き留めるほどの売り上げにはならなかったけれど、興味ふかい体験でした。

リンゴ箱のまえにしゃがみ込んで、長い間、本を選んでいたのは、若いけれど目立たない服装の女性。ちかごろ山にあふれる山ガールとは縁がなさそうな印象の彼女が買ってくれましたのは、堺誠一郎の『キナバルの民』(中公文庫)。

この本は登山とはなんの関係もないボルネオ島に住まう先住民のことを記したもので、かつて、そこのキナバル山に登り行くときに参考になるではと買ったものでした。渋い好みだなと思ったので、声をかけました。
「それは登山とは直接関係ない本ですよ」
「ええ、よその国の人たちに興味がありまして、、」

なるほど、納得しました。人は見かけではわからないものです。山の本にほぼ限定しましたので、一瞥して関心なく通りすぎる人もあれば、じっくり一冊ずつ引き抜いて調べたあげく、隣に移る人も。古本屋さんごっこというのは、接客は地味なもので、退屈でもある半面、いろいろな人をすぐ傍らでウオッチングしているような面白さがありました。

次の機会があれば、またやってみたい。閑人の暮らしにあっては、いいパスタイムでしたね。

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オバマさんがヒロシマへ

マスコミはここぞとはしゃいでいます。速報を伝えるTVで、アベは、さっそく、お伴するとせきこんでいました。

オバマさんは就任直後にプラハで「核なき世界」の実現に向けて固い決意を表明、世界に大きな期待を与えました。期待先行の結果、ノーベル平和賞までもらったけれど、その言葉を裏付けるような大きな手は結局、打ち出さず、空手形になってしまった。

ノーベル賞を返せと言いたい。清新果敢な政治家と見られて登場したオバマも口先だけかと不信感を持たれていたところ、任期終わり近くになって、ヒロシマ訪問を打ち出した。

 率直にいって、来ないよりはマシだが、来たからと言って、世界が変わることはない。オバマさんの任期8年の間、やり遂げた実績の一番は、キューバとの国交回復です。この方がヒロシマ・パーフォマンスよりも、ずっと意義深い。

オバマさんは、核を手放すことなく、核の威力を背景に国際社会のトップの座にいながら、核廃絶や核軍縮に有効な手を打たないまま、核のもたらした被爆地を訪問して、なんらかの意思や感情を表明するという。これは自己矛盾のパーフォマンスです。

 オバマさんの任期を終えるにあたって、レガシー(偉大な遺産)づくりとのようです。そう思えば、一瞬でも、ヒロシマ、ナガサキの悲惨な記憶が、世界規模で人々によみがえらせることができるし、知らなかった人々に関心を呼び起こすことができるかもしれない。それが訪問の成果になるというのなら納得できます。

アベは、わがことのように手柄顔を見せたが、唯一の被爆国のトップとして、国際社会に核の恐怖、核の破壊力を訴え、廃絶や軍縮に率先垂範したかどうか。そんな外交努力は、なんにもしていない。戦後ずっと、日本政府はそうです。閑人が広島に勤務していた二十数年まえも同じで、日本政府は歴代、被爆の実相を世界に積極的にさらし、糾弾する姿勢がない。

そのいちばんの理由は、日本が安保条約のもと、アメリカの強大な“核の傘”に入って守られているからです。その立場上、核兵器のもたらす災厄をコト挙げできない。アメリカに遠慮して言いたいことも言えんのじゃろう、と広島の人は嘆いていた。敗戦国が戦勝国に対して諫言なんてもってのほか、と政府はずっと音なしの構えのまま。

本来なら唯一の被爆国であることを盾に核の解消に取り組まなくてはならないのに、核の相合傘にいるために普遍的な「核なき世界」の実現を口火を切って言えない。ましてやオバマさんに原爆投下について謝罪を求めることなんか口が裂けても言えない。そんなことを言えば、75年前、ハワイの真珠湾を卑劣な奇襲(Sneak attack)をして戦端を開いたのは、どっちだ!?。勝ち目のない応酬になってしまう。

思うに、この国で被爆の実相を世界にアピ―ルしてきたのは、政府ではない。たとえば、国連本部に出かけ、セミナーや写真展を開いたりしてアピールしてきたのは、筆舌に尽くしがたい辛酸をなめた被爆者自身や被爆関係団体の民間人たちの血と涙の努力であり、あるいは被災自治体です。

今回のオバマさんのヒロシマ訪問を機に、日本政府がいっそう拡廃絶、核軍縮に率先、あるいはリーダーシップを発揮するようになればいいのだが、そうした機運が高まるとは、とうてい思えない。アベ政権なら、なおさらです。

昨年の原爆忌でのあいさつで、当然盛り込まれることが不文律になっている「非核三原則」について、アベは言及さえしなかった。武器輸出を解禁し、原発のプラント輸出のセールスマンをやり、不法なやり方で海外派兵の道を開いたアベは、言動からして核抑止力を評価する信奉者に違いない。

彼が考えていることは、唯一、つまり、このオバマさんの訪問を参院選挙の有利な材料にしようと言うことくらいだろうが、オバマさんとワシントン筋は、歴史修正主義者のアベを買っていない様子なので、アベの期待に沿う振る舞いをするかどうか。

久しぶりの山歩き

久しぶりに都市近郊の金剛山(1125m)に登りました。
腰の手術をしたりして、目を悪くしたりで、足腰の衰えを自覚していますので、なかなか好きな山歩きもできなくなりました。

若く健康なときは、「山は逃げない」と言って、いつでも登れるものだと、あちこちの行ってみたい山のラインナップなんかを胸中に収めて楽しんでいたものです。多いときは週に4日も山に行ったことがありました。それが、いま逃げたトシを惜しんでいます。

いつもの連休中のように今年も北アルプスで遭難が相次ぎました。5月の北アルプスは、まだ積雪が深く、気温はマイナス前後、アイスバーンも張っていて、ほとんど真冬と変わらないコンディションです。それなのにスニカーのような靴、ストック一本で登ってくると奥穂高山荘のスタッフがFBに報告しているのを読みました。

山歩きの愛好者が増えるのは、同好者としても嬉しいことですが、あまりにも未熟で、無謀な登山者が多いのは困ったことです。積雪期と無雪期とは、山はぜんぜん違った状況にあります。スニカーやストック一本では、雪山に太刀打ちできないことがわかっていないです。

山歩きには大きな自然、緑や風、山野の樹木や花を愛でたり、友人たちとおしゃべりしながら山谷を歩く。こういう楽しみがいっぱいありますが、そのような山歩きと、岩と雪のある激しい登山とは別世界だということです。つまりは登攀の知識と技術と体力が必要な世界と歩ける人ならだれでも楽しめる世界の違いです。

せっかくの命を不測の状況に置いたばっかりに死に急ぐのは無念なことです。山歩きという遊びは、特別な訓練をしたことがない人なら、無雪期の春から初秋にかけて、気候の安定したときに、それでもしっかりした山靴、風雨に備えた衣服と装備、非常食などを用意して行うものです。

低山徘徊趣味という山歩きを好む人たちも大勢います。黄色いヤマブキソウの群生や純白の可憐な山シャクヤクや素紅色のシャクナゲの花に魅せられながら、ゆっくりと山道を登ったり、深いブナの林のなかで深呼吸をする楽しみを味わいます。

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