アベ・トランプ会談

アベが、当選1週間そこそこのトランプに会いに駆けつけた。
NHKなんか世界の首脳に先駆けてトランプ外交の口火を切る役目を果たしたと大仰に報道していた。間抜けな報道です。

ふつうに考えても、まだ現役大統領がいるのに、しかも、ご本人がドイツ訪問して、留守の間に泥棒ネコのように表敬に行くのは、礼儀に反します。こんな当たり前の作法にも気がつかない「殿、ご乱心」を自公維新からは、なんの声も出ないのは不思議。

「ご乱心」はいつものことだから、もう論評に値しないと。まさか、そうではないでしょうね。みな顔色みながら沈黙しています。

日ごろだらしない民進党はの幹部たちが、珍しくまっとうな見方をしゃべっていました。アズミ代表代行は、「朝貢外交のつもりなのか」(*1)と言っている。朝貢、久しぶりに思い出す言葉です。高校の世界史に出てきましたね。中国の皇帝に貢物を差し出すことで隷属の意を示す周辺地域・国の首領たちの屈服外交。

アベの振る舞いというのは、まさに朝貢外交。そして日本史でいえば、おっとり刀で江戸に駆けつける小藩主の参勤交代劇みたいな感じ。

民進党のノダ幹事長、は、「1時間やそこらで“確実に信頼できる指導者と確信”ってわかるものか」とアベ発言に呆れて、ドイツのメルケル首相の言葉を引用した談話を出しています。(*2)

メルケル首相が9日、トランプさん当選でお祝いのメッセージを出した。 「民主主義、自由、法の支配といった基本的な価値と、宗教、肌の色、性別など個人の尊厳を尊重するという前提の上で米国と関係を強化していきたい」と。



まあ、これが世界の指導者の良識でしょう。アベなんかと格の違いを感じさせます。同じ敗戦国で、同じ米軍駐留基地を抱えていても日独のリーダーの自主独立の精神、知的レベル差をまざまざと感じます。

アベは非公式会談だから中身を言えないと言ってますが、どこがどう信頼できたのか、明らかにする必要があります。明らかにできない私的な会見なら自費で国会が閉会してから行くべしじゃないか。おそらく国費で買っただろうと見られるゴルフクラブ贈ったりして。

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一方、トランプ側には長女夫妻も同席しています。今後の日米関係を手探りする会談に何の政治的、法律的権限もない娘夫妻が話を聞いているとは!。夫婦ともやり手の実業家で知られています。外交経済施策について利権を先取りするチャンスを与えたかもしれません。自国民には説明しないが、トランプ一族ならいいのか。まったく呆れた話です。

最近のTBSラジオのアンケート調査(*3)では、アベ嫌い84%,アベ好き16%とあったそうな。圧倒的にアベ嫌いが多い。しかし、内閣支持率が高止まりしているのは、ほかに代わる適当な人物がいない、自民にも野党にもいないという事情があります。もう一つ、宗主国アメリカのポチに徹するアベがいちばん御しやすいため、ホワイトハウスが反アベにならないことを上げている論者もいます。(*4)

いまのアベ政権は2014年衆院選の結果になり立っています。このとき有権者総数の25%しか自民党を支持していないのに、議席占有率が76%にものぼりました。アベ一強独裁が可能になっているのは、ひとえに小選挙区制のせいです。国民の総意ではありません。

鹿児島、新潟で反原発知事が誕生したのは、野党はワンポイントで手を組んだからこそできたこと。ご乱心殿を一刻も早く退場させるために、野党はしっかりしなくっちゃ。いつまで無策でいるつもりか。ご乱心なのが、アベだけでなく、野党にもあるのが国民の不幸ですね。

(写真はGoogle引用)

*1 朝日新聞デジタル2016年11月18日
   http://www.asahi.com/articles/ASJCL61JZJCLUTFK01Y.html
*2 2016年11月19日 朝日新聞デジタル
    http://www.asahi.com/articles/ASJCM63DFJCMUTFK00M.html?ref=rss
*3 なぜ安倍政権は勝ち続けるのか?
http://blog.tatsuru.com/
*4 安倍嫌いが84%でなぜ内閣支持率5割?
    http://79516147.at.webry.info/201610/article_180.html

メディアの敗北

まさかのトランプ勝利。
とんでもない人物がアメリカをリードすることになりました。
比較するにはレベルが違いすぎますが、大阪でもデマゴーグ(*1)が知事、市長になりました。しかし、なんら政治的事績をなすことなく一線から消えました。あるいは、消えたふりをしています。

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トランプ勝利を見抜けないまま、クリントン優勢報道を続けたメディアは歴史的な失敗をしました。大番狂わせとマスコミはこぞって驚いていますが、これほどの大差となると、これはもうマスコミの予想分析した報道自体が負けたといっていい。トランプ支持が過半数を超える。マスコミは、その大きな潮流を読み損ねた報道を重ねていたことになります。

アメリカの新聞やテレビは候補者への旗色を鮮明にすることが普通に行われています。投票日直前の全米の新聞100社の候補者支持別(*2)でみると、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズのような有力紙はじめ57社がクリントン支持を表明し、ニュース専門局のCNNテレビもクリントン支持でした。

一方のトランプを支持したのは、わずか2社。うち1社はトランプ側近の社だとありますから、これは当然。マスコミの大勢は、今回の大統領選はクリントンで一丁あがりという空気だったのに違いありません。報道に接する世界中の人々も、その報道に導かれていました。閑人もよもや逆転はあるまいと思っていました。今回の事態はマスコミのミスリードの典型例になるでしょう。

マスコミ側が、どの候補を支持す表明するかは自由です。しかし、問題なのは、その支持姿勢にとらわれた先入観のためか、正確な情勢分析を有権者に伝えることができなかったことです。二つの間違いを犯してしまったと閑人は考えます。それが選挙情勢の報道にもあらわれて、投票結果を“番狂わせ”と総括しなければならなかったのではないか。

一つはクリントンの不人気。日本人には情緒的な面なのでわかりにくいことながら、クリントン批判のコラムなどでは、かの国ではクリントンは高慢ちきで鼻もちならない出しゃばり、といったマイナスイメージを国民の相当数が持っていると伝えていましたが、このポイントを見逃した。多年の実績や政治信条がいいとか悪いとかとは別の、上から目線の金持ちおばさんに対する庶民の反発感情が強かった。

二つ目はトランプの強力なデマゴーグが、アメリカ国民の心をつかみ、浸透し、熱狂へまで高めていたことを低く評価したこと。数々の性的不祥事を報道されても否定し、メキシコの壁、雇用を奪う移民送還、テロにつながるイスラム教徒の排除、アメリカ・ファーストという保護主義を声高に叫び続けた。

批判や非難もなんのその、そのやまないデマゴーグに、ある種の信念を国民に感じさせた。こんな人物を支持すると公言できないけれど、ひょっとしたらひょっとする、そんな漠然とした期待感を持つうねりを見誤ったこと。

ほぼ一年にわたる大統領選挙選で伝えられたトランプの言動は、とても信じられないほど不適格者のイメージでした。それまでアメリカ国内を除いては世界中は、彼の名前を知らなかったと推察されます。日本でもまったく無名の人物であった。

その後に報道されるトランプの発言や過去の行動の数々には、政治家の資質どころか、人間的評価にさえ眉をひそめるようなことばかりでした。

しかしながら、今更の指摘ですが、テレビとインタネットに代表される情報社会にあっては、有権者に届く判断材料のほぼすべてが、人物の露出度によって決められています。

まるで洗剤や養毛剤やクルマの波状的なCMが商品の購買力や知名度につながるようにです。候補者は実現可能かどうかの判断抜きに、気を引くことをわかりやすく過激に叫んだ方が有利です。知性よりも感情に訴えます。

民主政治は一人一票。分別ある人も分別ない人も平等であるがゆえに、分別のない人が多いのが世のならいとあれば、分別のない人を焦点に、分別のない不満や不信感をかき立てて、ヴィジュアルにデマゴーグした方が勝つことをトランプは証明しました。大阪のアレとおなじです。コイズミの郵政民営化選挙でも、そうでした。B層(*3)という票田を生んだ選挙でした。

マスコミは事実を報道するが使命でありますから、仮に選挙戦術とわかりきっていても、とんでもない問題発言があれば報道せざるを得ません。複数の候補者の発言を選択的に傾斜報道すると公平性を欠くからです。

そこが大衆迎合のデマゴーグのつけ目であり、報道側のジレンマです。言った者が勝ち、あとは選挙戦術の一環だったと言い逃れるやり方です。このジレンマを解消する妙案はいまのところなく、選挙はますますデマゴーグ優位の流れになるにちがいありません。民主主義政治は、システムの必然的な予測通り、衆愚政治を招いています。

メディアは、言った者が勝ちというデマゴーグに対する報道姿勢と、有権者の少なからずを占めるB層へわかりやすい報道、踏み込んだ解説を提供しなければならない。その一方で潜在化するB層の動向をすくいとって、有意な羅針盤を提供しなければならないと思います。それにしても、これからの選挙はますます「トランプに続け」となりそう。いやな感じですね。

(写真はGoogle画像検索から引用)


*1 Wikipediaによると、「社会経済的に低い階層の民衆の感情、恐れ、偏見、無知に訴える事により権力を得、かつ政治的目的を達成しようとする政治的指導者を言う。デマゴーグは普通、慎重な考えや行いに反対し、代わりに至急かつ暴力的な対応を提唱し、穏健派や思慮を求める政敵を弱腰と非難する。

民主主義の基本・原理的な弱点、つまり究極的な権限は民衆にあり、その中でより大きな割合を占める人々の共通の願望や恐れに答えさえすれば(それらがどの様なものでも)政治的権力を得られるという点を利用した」やり方。

*2 2016年11月7日 NHKニュース

*3 2005年、小泉内閣が郵政民営化を図るにあたり内閣府が広告会社に依頼して、支持を得やすい国民層を分析したもので、自分で考える力がない。具体的なことは分からないが、テレビやマスコミ報道に左右されやすい。IQが比較的低い人たち。主婦層、若年層、高齢者層などをB層と定義。彼らの気を引く訴えをすれば目標が達成できるとした。

閑人が見たトランプ当選直後の夜のNHK番組で、国際政治学者、篠原帰一さんは、トランプ支持層を「白人、労働者、高卒、高齢者」と話していたが、デマゴーグの標的にされるB層と一脈通じている感想を持ちました。


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