この自由な世界で


kilstone

 
イギリス映画。33歳のシングル・マザーが主役。11歳の一人息子を両親に預けて働く。セクハラに文句をつけたら、人材派遣会社を首になる。これを機に友人と二人で勝手知った派遣会社を起こすところから始まる。

金髪、美貌を武器にバイクで走り回り、移民を日雇い仕事に送り込む会社。順調にゆくが、もっと大きな会社にするべく模索中に、不法移民を斡旋、ピンハネする方が儲かることに知り、汚い不法手段に手をだす泥沼に落ち込む。

不渡り手形をつかまされたり、賃金不払いで労働者に包囲されたり、行きずりに殴り倒されたり、やがては息子を拉致した覆面強盗に諭される。「お前の息子は俺たちの息子よりも偉いのか。俺たちは使い捨てされてもいいのか」。

恐怖のあまり失禁するほど手痛いダメージを受ける。昔かたぎの父から叱咤される。息子とのいさかい、パートナーから愛想づかしされる。ストレス解消に一夜の男を求める。いろいろな苦難や失意を越えて、なおシングルマザーは大きく儲けるために不法移民の労働力を求めてウクライナへ飛ぶ。

英国は移民の国。移民なしには経済活動が回らないのに、移民を軽視し、人間扱いしない。先進資本主義国の偽善性を、このシングルマザーは知らず知らずに代弁している。タイトル「この自由な世界で」で行われている非人間的な経済社会の問題を、一級の興味深い物語にして、見ごたえがある。

 監督は『麦の穂をゆらす風』で知られるケン・ローチ。女優キルストン・ウエアリングがいい。こういう社会構造に根ざした矛盾や問題を説教臭くなく、面白く仕立てて見終わったあとにじっくり考えさせるようなタイプの邦画が最近はすくないな。

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