教員採用で懸念すること

報道によると、大阪府の橋下知事は、府教委管轄の教員採用試験制度のうち、北摂5市町(池田、豊中、箕面、豊能、能勢)にその制度を移譲する条例を提案することを決めたそうだ。移譲するのは採用試験、異動、管理職試験などの権限と言われる。なんで、こんな権限を特定の地域に移譲するのか、その必要性がわからない一口に言って地域の特性を生かした人材の確保をしたいうとことらしい。理解しがたい施策である。府下一律の教員採用で、どんな障壁があるのか。

狭い大阪で、北摂地域の大阪人が特別であることはなにもないだろう。同じものを食い、同じように話し、考え、生活習慣一つとっても他の府下の地域と変わりがあるわけがない。地域の特性に合わせた地域型資質の教員人材がいるとは思えない。北摂にあるとしたら、河内や泉州にもあるという論法になるが、そういう地域特性教員がいるとは思えない。少しがんばれば通勤だって府下全域が可能な狭い自治体である。だいいち、地域特性という狭い了見なら、仮にも北海道や九州から教育に情熱を持つ受験者が来たら、どうするのか。排除するのかな。このグローバルな人材養成が時代の要請というのに、教える側が狭い地域特性に立つ教員ばかりというのは、大いなる矛盾じゃないのか。

にも関わらず移譲するのは、一つは府教委が仕事量を減らそうと考えたことだろうか。しかし、役人が既存の守備範囲をわざわざ狭くしたがるわけがない。役人は既得権と前例踏襲で生きているのだ。

だとすれば、何にでも口を出したがる知事の思いつきであろう。知事の権勢、力の誇示の一つとして、数ある人事権の一つを「お下げ」しようということか。

という懸念を持つのは、昔も今も教員採用試験には不祥事がつきものだからだ。教員職は安定した仕事で、それなりに社会的評価もあるので、おおむねいつの世でも求職者が多い職種である。これを教育委員会、実質は首長部局が握っているため、採用汚職、昇進不正が絶えない。議員連中にしても、就職世話というのは、いちばん固い票田になるから、こぞって売り込みに躍起となっている。。

筆者も昔、さる県の教育長室に出入りしていて、見聞したが、地元有力者、県議あたりからの口ききが殺到しており、その情実リスト作りを秘書がやっていたものだ。大阪府でも今の大教大がが旧師範、旧学芸大だったころからの派閥争いで採用不正があり、幹部が逮捕されるような不祥事がかつてあった。3年前には大分県教委で現職校長が絡む大掛かりな採用、昇進不正が起きた。人事権に絡む贈収賄事件である。なにも大分だけでない、ここ数年でも徳島でも大阪でも宮城県でも起きている。

こうした「美味しい話」がつきものの採用や昇進の権限を小さな市や町に移譲すれば、失礼な話だが、その利権をめぐって、早晩、縁故採用、情実人事を伴う不祥事が起きるようになるにちがいないと推察する。移譲されることを北摂地域自治体が歓迎しているのであれば、なぜ煩雑な業務の受け入れを歓迎するのか、よくわからない。自治体にとって教員採用試験制度を取り込めることで、どういうメリットがあるのか分からない。

教員採用の基本は児童生徒の教育上の利益を図ることが、いちばんの視点。自治体の権限を増やすことではない。取り越し苦労と笑われそうだが、もし移譲が実現するのなら、よほど厳正公平な運用組織が望まれる。

さらなる報道では、知事は君が代斉唱に加わらない教職員は、免職を含む懲戒処分にする案件も検討中といわれる。

この知事の、この強権的な姿勢は、危ないな。選挙で選ばれたことと、万事が白紙委任されたということとは違う。国旗国歌に関する法令がきまったとき、付帯意見として、内心の自由を損なわないとつけたはずだ。権力者はそこを謙虚にわきまえないと、全体主義の道をつっ走った過去の独裁者の轍を踏むおそれがあるな。

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どうでしょうか

北摂に住むものです。確かに大阪府は狭いですが、大都市だけあって採用試験を受ける人数は大変多いです。そのため、大阪府の教員採用試験はたとえば実技試験が大変荒く、他府県に比べ内容もハードルも正直低いと感じます。そうしないと志望者をさばききれないからです。そのためにできないことが多くても合格しやすいという状況がうまれてしまっているのでは。。教師の質が問われる昨今、北摂の教育関係者が質の高い地域に根ざした情熱的な教師を欲し、この条例に賛同するのは当然の流れだと私は思っています。実際に実技試験は独自の方法でと言われていますし、質を上げようと考えているのは良いことではないでしょうか。
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