雨のしのびあい

昔映画少年だったので、ナツメロならぬナツDVDをよく見る。

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(↑ 写真はGoogle ↓)

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今回はジャンヌ・モローとジャン・ポール・ベルモンドの『雨のしのびあい』(1960)を見る。原題は『モデラート・カンタビレー』。だが、当時は原題とはぜんぜん関係ない、あるいはフィーリングのみにこだわった邦題を勝手につけていた。そういうのも懐かしい。ずいぶん的ハズレの邦題もあったが、いまはなんの工夫もなく、原題のカタカナ表記のままが多い。

『雨のしのびあい』は金持ちの退屈妻と格下の工員との7日間の恋物語。ジャンヌは工場長の夫とお屋敷に住む子持ちの母、ジャンはその工場で働く工員という役柄。ジャンヌ・モローは『現ナマに手を出すな』『死刑台のエレベーター』などで、ジャン・ポール・ベルモンドは「勝手にしゃがれ』」で時代のトップランナーになったフランス映画の芸達者コンビ。

ジャンヌは、倦怠感に満ちた金髪の美貌がウリ。ピアノを習うこどもを教師宅に連れて行き、そのあと子どもと散歩するのが唯一の仕事、実業に明け暮れる亭主に愛想づかししている日々。そのピアノレッスンを受けているとき、鋭い女性の悲鳴を聞き、現場のカフェを覗くと、殺害した女を抱きしめる殺人犯を見る。警官に促されるまで
死んだ女から離れない男を目の当たりにみて、ジャンヌの心が揺れる。「あんなふうに愛される女性もいるのだ!!」

激しいショックを受けたところにジャン・ポール・ベルモンドが、殺人事件の裏事情を話して聴かせるという立場でジャンヌの心に入り込み、つかの間の恋が始まるーー。7日間後にジャンは退職して街を去る。残るはジャンヌの悲痛な悲鳴。あの殺された時の女のような悲鳴。

白黒映画。『第三の男』そっくりの黒と白の陰影が際立つ映像。顔の表情をアップした長いカット、寒々とした並木や石垣、海の色。ずっと流れるモデラート・カンタビレーの音楽。ゆっくりと、劇的なシーンは一つもない展開。世の中の片隅で燃える女と男の素顔のかけら。フランス映画は、こんなふうに人生にありがちな出来事を淡々と映した映画が多かったなとつくづく懐かしかった。

余談ながら、レンタルDVD屋さんは、過当競争らしく、こういう映画を100円で見せてくれる。それにしてもレンタル屋さんには往年の名画をつぎつぎ制作したフランス、イタリア映画の在庫が少ない。映画の世界はハリウッドが席巻して、そして力をなくした。

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