映画「いとこ同志」

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年末年始、スポーツのほかに見るべきTV番組がないので、レンタルDVD屋さんで、フランス映画『いとこ同志』を借りてきて観た。むかし、まだ未成年だったころ、この映画を見て、大変なショックを受けた。世の中では、正しく努力するものが報われる、ということが必ずしも当然の論理ではないことを知った。不条理という言葉を覚えた映画でしたね。

あらすじは、アリとキリギリスの寓意と真逆だと考えればわかりやすい。つまり、この映画では、キリギリスが勝ち組となり、切磋琢磨したアリが負け組となるのだ。救いのない醒めたリアリズムが、当時は鮮烈なインパクトを与えてくれましたね。

田舎から「マジメ青年」が、大学の学士試験を受験するためパリのイトコの豪華マンションに間借りにやってくる。「都会イトコ」も同じ試験を受ける学生だが、こちらの方は大金持ちの子弟らしく、毎日、酒を飲み、高級車でドライブ、女を漁り、パーテイを開いて乱痴気騒ぎを繰り返している。室内の壁には集めた銃器のコレクションを見せびらかしている。

「田舎イトコ」は、旅の模様や日々の出来事を、心配するママに手紙を書き送る母思い。いつも受験勉強に励んでいる。「都会イトコ」に誘われて出たパーテイで、密かに恋心を燃やした女性をほんのちょっとした行き違いから「都会イトコ」に奪われる。その女性と同棲して、いっしょにシャワーで戯れ、ベッドをともにする「都会イトコ」。

そんな悲哀を表に出さず、夜遅くまで受験勉強に励む。この「真面目イトコ」は、「遊興イトコ」を見かねて「あと試験まで4日しかない、勉強をしたら」と諌めるほどだ。そして迎えた試験日。結果は、なんと「遊び呆けたイトコ」が合格、「真面目イトコ」は不合格だった。「合格イトコ」はカン二ングがうまく言ったをほざく。

失意の「真面目イトコ」は、学生証を破って川に捨てる。マンションの壁を飾っているピストルに一発だけタマを込めて、思い切り弾倉を回転させる。ロシアンルーレットのやり方で、自身の頭にむけてピストルの引き金を引くが、不発。タマにさえ見放されている。青年は絶望して臥してしまう。

朝、二日酔いで寝ていた「合格イトコ」は、ふらつきながら、「不合格イトコ」を起こす。そばにあったピストルを手に取ると、何気なく銃口を「不合格イトコ」に向けた。思わず「撃つな」と叫ぶ「不合格イトコ」の制止が及ばず、銃弾は胸を貫き、この不運なイトコは無残にも即死してしまう。


徹底的に浮かばれない「真面目イトコ」。うまく立ち回っていい目を手にする「都会イトコ」。その運命的な対比が鮮やかでした。公開当時、フランスではヌーベルバーグの波のさなかであった。不条理を不条理のままに描いて、なんの救済も安堵もなしに、冷ややかにぽーんと投げ出してしまう結末、この映画は衝撃的でした。

昨年あたりアメリカ発で99%の貧乏人が、1%の富裕層に対してプロテクトの動きが起こった。日本でも一度下層階級に落ちると、上昇する道が閉ざされてしまう。世の中は「持つ者」と「持てない者」との歪な二極化が進んでいます。「持つ者」は特別な努力をすることもなく、作られた社会構造のなかで、どんどん豊かになる。「持てない者」は再起のチャンスさえない。そういう今の時代の現実とすり合わせて、この映画を見ますと、今日的な意味合いで考えさせられます。
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不合理ですね

本当に不合理ですね。
私も不合理に泣くほうかもね。
あんなに勉強したのに落ちるなんて
よぽど頭が悪いのか???

世の中、弱い者は無視されますね。
自分をうまくアピールしないとダメですね。
私はそれが下手です。
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