橋下サンの本を読んで。その1

目下、一部の人たちやほやされて権勢を誇る橋下サンは、どんな考えを持った人物か。

街頭演説やTV番組での言いっぱなしでは、よくわからないところがある人物です。彼に著書が四、五冊あります。そのうちの二冊を図書館で借り出せたので、さっそく読んでみました。率直に言いまして、この二冊の本のような気分の悪くなるような読後感を味わった本はありません。読む側としては、どうしても、彼の今の立ち位置と照らし合わせながら読むことになります。これらの本はもう彼が世に出る処世の手法を詳しく書いたようなものです。その読後感を交えて本のポイントを紹介します。

いまさらながら、橋下サンは、一口で言えば変わり者。学問や芸能に天賦の才を持つ人物が、しばしば変わり者のように見られることがありますが、彼の変わり者ぶりというのは、性格の異常な偏りを思わせます。彼は自分本位に功利的に振る舞い、他人に勝つことが人生あるいは社会の成功者だと信じていることです。目的のためには手段を選ばず、そうして得た力で優位性を自慢したい。他人を攻撃することで自慢したい、そういう特異な自己顕示癖があることが著作から窺えます。

読んだ二冊の本は
『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術ーーーかけひきで絶対負けない実戦テクニック72』(03年、日本文芸社刊)。
『まっとう勝負!』(06年 小学館刊)です。

まずは前者の本ですが、このタイトルには、たまげます。まるでマルチ商法の勧誘か、三流週刊誌の見出しのような惹句です。こんなあざといタイトルを自作につけるところに彼のインテリジェンスや感性のレベルをしのばせますね。

ほかにも『図説 心理戦で絶対負けない交渉術』(05年 日本文芸社)という同じようなタイトルの著書もあることから推測されることは、彼は人に絶対負けない交渉術ということに、大いにこだわりがあるらしい。今の彼の巧妙な弁舌というのは、自らの本の実践という感じです。高飛車なモノ言い、大言壮語から始める話法、その結果を責任転嫁したり、はぐらかしたりすることに多大の自負心を持っているのも、本の内容と一致します。

『最後に思わず,,,,,,』の本は、「まえがき」にこうあります。普通のセンスを持つ人なら、もうこのまえがきだけで、読むのを止めるでしょうね。

「相手を思い通りに動かすかけひき論、約束を反故(ほご)にし、相手を言いくるめてゆくレトリック、自分のペースに引き込む話術のポイント、ピンチを切り抜ける切り返し術などさまざまな方法論を具体的に説いていく。これらは巷間耳にする心理学者や大学の先生方が書かれている交渉論とは一線を画す、より実戦的な交渉術であると自負している」

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つまり、これは彼が弁護士でやってきた依頼人のためなら騙しあり、ウソありの手口集ですね。ですから、目次を見ますと、唖然とします。

第一章「脅し」と「利益」。絶対負けない”かけひき”術。かわす、攻める、追いつめる、、、レトリックで攻防を制するセオリー。

第二章 まんまと相手を言いくるめる逆転の交渉術。ありえない比喩、立場の入れ替え、、、相手を錯覚に陥れる詭弁の極意。

といった調子で、要するに、詐欺にならない範囲でなら、なんでもありという論法。普通の人間関係で生きている者、フツーの暮らしをしている常識人には、到底使えるものでない交渉術。まさに。タイトル通りの詐話師が使うようなエゲツナイ内容です。

「交渉においては相手方をだますこともときに必要だ。この本で紹介している仮想のメリットの提示などは、言い換えれば、だましである。交渉の過程でこちらにとって経済的に損失を伴わないものの、相手にとっては得になるようなことを作り出す。そのうえで、あたかも無理に無理を重ねた譲歩であるかのように相手方に差し出す。だましには違いないが、これが私の交渉術の根幹でもある」(88-89ページ)

そのためには、一度OKしたものをノーと言ってひっくり返す、約束したことも前提条件を後だしして反故にする。白を黒といいくるめようなレトリックを使い、詭弁を弄す。場合によっては”言い訳”も”うそ”もありだと書いている。赤字にした部分のように「私の交渉術の根幹」というから、異常ですね。

弁護士として、依頼人が望む示談を有利にまとめるためのトンデモ交渉術のようである。一般人にはこのようなあくどい手法の弁護士に相手を丸め込んでほしいなどいう交渉を依頼することはまずないから、この本をいくら読んでも、手口に呆れはするものの、役に立つものでない。読んでいると、分かってくるのは、このような論法と滑舌でもって、彼は有権者を、もしくは国民を手玉に取ってみようと、政治家を志し、実践していいるのではないか、という疑問が強まることである。

ちなみにエイプリルフールの4月1日。ツイッターにこんな書き込みがありました。

「橋下市長は、思慮深く、寡黙で、誠実で、人望が厚く、何があっても決して人のせいにはせず、責任感に溢れている。音楽、芸術に造詣が深く、知的である。そして、いつも自分のことより、市民のことを優先的に考える素晴らしい市長である。#エイプリルフール書いてて悲しくなった」

つまり、橋下サンの本性は、すでに心ある方たちから見抜かれていますね。

あと1冊については、稿を変えて書きます。



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いつもすごいと思いますが、今回もまたすごいです。彼の著書を読んでの論評、脱帽です。
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