中国映画『サンザシの樹の下で』

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中国映画の巨匠、チャン・イーモウ監督の映画を久しぶりにDVDで見ました。遅ればせ、です。チャン・イーモウの作品はデビューの『紅いコーリャン』いらいずっと見ていますが、今回の作品はかつての『あの子を探して』、『初恋がきた道』、『至福のとき』の三部作に連なる純愛もの。

一途に思いつめる青年と純真無垢な娘の恋、姿を消した青年の消息が届いたときは、青年は白血病で亡くなる寸前の病床。という筋だけ取れば、よくある陳腐な話ですが、時は毛沢東が号令をかけた文化大革命のまっただ中、不条理な身分制度や息苦しい監視管理社会のなかでの、人目を偲ぶ貧しいプラトニックな恋は切なく悲しい。昔の大映映画なんかなら、「三倍泣けます」という宣伝文句がつきそうな正攻法の純愛路線。

あらましはーーー。文化大革命で統制管理が強まる1970年代。走資派とみられた家の子弟は、農民に学べと都市から下放されました。女生徒、ジンチュウが派遣された村にあるサンザシの樹は、白い花が赤く咲くといいます。抗日戦争で亡くなった中国軍兵士の血に染まっているからだといいます。預けられた村長宅で、地理調査に来ていた党幹部の息子、青年スンと出会う。スンとジンチュウは、やがてお互いに恋心を抱くけれど、彼女にとって身分違いの恋。反革命分子と見なされた父は投獄され、母は職場でいじめ抜かれています。

ただ、ちゃんと学習すれば教職に就く機会がある彼女は、絶望から抜け出せる家族の希望の星でした。もっとも大革命の本分に背いて学生が道ならぬ恋をしていることがバレると、すべてを失ってしまう。あるとき、スンは健診と称して入院する。病院を見舞ったあと、ジンチュウは、色鮮やかな赤い布を見つけスンと約束をする。「サンザシの花が咲く頃、この布で作った赤い服を着て、あなたと一緒に見に行くわ」……。

青年の恋さえも許されぬ管理命令と密告監視のなかで、逢瀬の二人のシーンが清楚で美しい。清流での水浴び、自転車での二人乗り。見舞い時間外で追い出されたジンチュウがスンの病室を見上げて座り込む病院の玄関のシーン、そして,スンの危篤を聞いて駆け出す青い服のジンチュウが、病室に飛び込んだときは、約束の真っ赤な服を着ていた、さらに病床の青年が二人で撮った写真が思いがけないところに貼ってあるショット、、、、、。チャン・イーモウ監督は、こうした恋心の機微に触れた場面創りが実に巧みです。心打ちますね。

のちにチャン・イーモウはハリウッド映画まがいの『HERO』や『LOVERS』などで作風を大転換したころがありましたが、09年の北京オリンピック演出のあとは、また元の人の生きる喜びと哀しみを細やかに描く路線に戻ったようで喜ばしい。


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いまの日本映画はTVドラマ、人気コミックのアホらしい焼き直しばかりで、大人が見るに堪える映画が数少ない。ここは中国、台湾、韓国がいい映画を作って楽しませてほしいものです。

それにしても、チャン・イーモウ監督が見出したコン・リー(上)とチャン・ツィイー(中)は国際的な大女優になりましたが、今回のチョウ・ドンユイ(下)はどうだろうか。色白、細おもて、笑顔が寂しい、どこか薄幸な顔立ちがする女優なんですがね。あの映画の役柄のせいかな。

                                       (写真はGoogle引用)

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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
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