B層ということ

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(写真はGoogle)



ちかごろ、またぞろB層という言葉がマスコミをにぎわしています。売り出しの哲学者兼評論家、適菜収(てきな・おさむ)さんらは、好んでB層分析を展開しています。

いうまでもなく大阪市長、橋下を支える熱狂的支持者が、おもにB層から成り立っているとする解析が強くあるからです。橋下の恣意専断による人権無視などを批判すると、「橋下先生を批判するヤツは、バカ、シネ」などと電話やメールで騒ぎまくる狂信的信者までを含んでいます。

マスコミや評論家は、この手の怒号や脅迫めいた言説に頭を痛めています。まあ、マスコミには橋下をさんざん持ち上げた結果、こういうアタマが熱くなって醒めない連中を育てた責任がありますが、こうした人々は典型的なB層と見られています。

B層というのは、いかにもランキングふうの呼称なので、B級グルメの連想からか、Aより低いBとか、「部落」の頭文字だとか、勘ぐる向きがいますけれど、それらとはなんの関係もありません。

もともとB層というのは、アノ小泉郵政民営化選挙(2005年)のさい、民営化支持者を増やすための方策を広告会社に依頼して有権者をひそかに分析したもらった結果、広告会社が企画書にまとめた内容から浮上したものです。広告会社は、こう分析しました。

民営化理解、だが批判派 A層  高学歴、インテリ、マスコミ、勝ち組など 少数派

民営化反対、現状維持派 C層  高学歴、インテリ、マスコミなど  少数派

残る大多数がB層です。(広告会社は8割以上と踏んでいます)

学歴は低い。自分では考えず、マスコミに踊らされやすい。郵政民営化のことはわからないが、小泉のキャラは好き、という人たち,具体的にはお年寄り、主婦、低学歴の若者たちと分析。政府の宣伝工作は、このB層に訴えるといいとした。分析にIQ(知能指数)まで言及していたことがわかり、国会でも非難論議がありました。

小泉政権はB層目当てに選挙宣伝。反対党員を抵抗勢力と名づけて非公認、さらに「刺客」(くの一とされる女刺客も)を送り込み、「改革なくして成長なし」などのワン・フレーズで話題をマスコミにあおった結果は、ご承知のように小泉自民の歴史的大勝に終わった。

というわけでB層という類型は、事柄の本質については「なにがなんや、よう知らん。そやけど、なんか、おもしろそうやん」(なぜか大阪弁になりますが、、、)という空気に集まる人たちと考えられています。

この大衆社会ですから、モノを売るのでも、ヒトを目立たせるのも、カネがありそに見せるのも、なんや役にたちそうと想わせるのも、うまいことを言って、B層のハートをつかんだものが、とりあえず勝ちということになります。政治の世界でも商品の販売促進の世界でもB層は、その数の多さで他を圧倒します。

この数の多さが勝因になりますので、選挙はできる限りハデに、争点らしきものをうたいあげ、攻撃的話題でもって盛り上げ、ふだん投票所なんかに足を運ばない連中にも、いそいそと投票所に行かせるようにパフォーマンスする。この郵政選挙でも、橋下の市長転身選挙でも、B層的浮動票を動かして投票率をあげて初期の目的を獲得しています。、

しかしながら、また小泉政権に戻りますが、B層狙いで大勝し、アノ小泉チルドレンを83人も国会議員に押し上げましたが、次の選挙(第45回衆院選挙)で、再選されたのは、たった10人。あとは無残にも消えてしました。B層は、興味を継続することが得意でないようです。ようするに見切りは早いのです。

余談ですが、あれほど小泉が公言した「郵政民営化で国が変わる」なんてことはありえないことに、さすがのB層も気がついてからの心変わりですね。冷静に考えれば、ポストをいじって国が変わるわけがない。当たり前の話ですが、いままた大阪では「府市統合して大阪都にしようと」と橋下が扇動していますが、名前を「都」にしたら、府・市民が豊かにになるか、幸せになるか。なるはずがないじゃーありませんか。(古いギャグ)ひょっとしたら、こういう発案をするご当人は本来の「ハシシタ}を「ハシモト」」とムリ読みすることで、人生がうまく行ったと思っているのかもしれませんが、、、。

いま小泉を尊敬してやまないという橋下の人気にあやかり、当選している大阪府議、市議、堺市議らは102人いるそうです。(このなかには知事の松井や府会、大阪市会議長のように自民脱藩組もおりますが)いわば橋下チルドレンたちですが、こんなに一挙に新しい勢力が生まれるのは、B層の支持なくしては。ありえないことです。

そこで冒頭の話のように、B層解析は盛んです。橋下が常々しゃべっているように、彼自身はマスコミに乗って世に登場できたことを賢明にもよく承知しているので、そのマスコミから見放されたときが、コトの終わりとわかっているようです。マスコミを繋ぎとめるために、次々と自転車操業的に話題発言を重ねているのは、もうハナにつくほどで、この点からも飽きられかけています。

B層と言われる多数の人々は、自分たちは支持したり、共感したりしたことについて、もともと組織的でも計画的でもないですから、結果についても責任というものがない。1人1人は孤立しており、選挙結果のように他者と同じような一致した言動をしたのは、マスコミ情報だけに依ったからにすぎない。確信も責任もない判断である以上、それは容易に変わります。コロコロ変わるのがB層のゆえんでもあります。

そういう意味では、橋下は自分を支えるB層の人たちの予感よりも先に橋本旋風の風向きが突如変わるかもしれないということを直感的にわかっているのだろうと思います。

B層はA・Cよりも知的レベルでも、経済格差の上でも軽視されますが、何よりの強みは圧倒的な多数派であることです。多数が正しい、のが建前とされる民主主義社会にあっては、由緒正しい人々です。B層を動かすことが、しばしば世の中を変えるかもしれませんが、そうして変えられたものは、要するに、判断力に欠ける、無責任な多数によりかかってできたものですから、結局は壊れやすく、移ろいやすい。B層に振り回されるのは、もはや民主主義の原理的な危機ですね。



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