アンネの日記事件

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なんともやるせなく腹ただしい事件が起きたものだ。
一体、一冊の本を目のかたきにして、どういうつもりなのか。
本が『アンネの日記』であるだけに、これは明らかに何らかの政治的メッセージをこめた愚行です。

都内の多くの公立図書館や書店の棚にあるアンネ・フランク作の世界的ロングセラー『アンネの日記』本がページを引き裂かれ、ずたずたにされる事件が相次いでいます。ざっと300冊以上ということです。

被害の場所が点在しているうえ、その数の多さから、とうてい1人の犯行とは思えない。ある種のグループが計画的にやっているのかもしれない。

すでに反日悪宣伝のための外国人の犯行ではないか、というような排外的な論評をする人もあります。その一方でイスラエル大使館や篤志家から彼女の本が寄贈されており波紋が広がっています。

この事件の報道を知って、はからずも『アンネの日記』を初めて読んだころのことを思い出しました。中学2年のころ今のJR大阪駅付近で暮らしていました。当時の阪神百貨店の地下に図書売り場があり、そこで平積みされていた赤い表紙の本が、『アンネの日記』でした。たしか化粧箱に入っていて、おしゃれな感じでした。

wikiで調べると、この本の日本での発売は1952年、文芸春秋社から皆藤幸蔵訳で出版されたとありますので、おそらくその邦訳本だったのでしょう。オランダのユダヤ人少女がナチスの監視の目を逃れて二年間、屋根裏で過ごすなかで暮らしの実情、思春期らしい内面の葛藤や人種差別などについて綿々と綴ったもので、大きな衝撃を受けた本でした。同世代の少女が置かれた残酷な環境やその日記に異様さに驚いたことを覚えています。

いうまでもなく、この本はナチスドイツ批判であるどころか、反戦平和、人種差別撤廃を希求する世界的な良書となって読み継がれていますが、一方で、いまも世界に少なからずいるナチス賛美主義者やユダヤ人大量虐殺を否認する立場から、攻撃の対象にされています。

曰く、アンネ・フランクなんて少女は実在しなかった
日記はねつ造にすぎない。
ドイツ人を誹謗中傷するテキストだ、、、。

(この悪意のある歴史修正主義者の考え方は、アベなど極右の政治家やらその取り巻きやらNHK会長やらハシモトやらネトウヨの連中の言い分とそっくりです。
曰く、従軍慰安婦はいなかった。
従軍慰安婦の証言は嘘っぱちだ。
日本人を誹謗中傷する作り話だ、、、、。)

アベ一派が主導する極右国家主義的な政策や言動が大っぴらに語られる風潮に追従する連中が、かつての同盟国ドイツを擁護するつもりか、もしくは反ユダヤ主義の持ち主やらが、この本を標的にしているのかもしれない。あるいは、そうしたことは思いすごしであって、単なる悪質なバカな愉快犯が駆け巡っているか。暗然とした事件です。

秦の始皇帝による焚書坑儒(気に入らぬ本を燃やし、気にいらぬ儒者は穴に埋めてしまえ)の昔から、本は主義、思想、学問を担う意味もありますから、権力者による言論出版への妨害や制限は数多く見出されます。日本でも言論弾圧については歴史的にも多くあり、戦前には特高がひそかに有害図書を認定して没収処理され、その「有害本」の所有者は迫害されていました。

反ナチス本のシンボルでもある『アンネの日記』破壊事件は、世界に日本という社会が生み出す異常性、言論の自由を否定する反知性の実態を広めています。

(写真引用はGoogle)

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