日本の空は治外法権

裁判所は建前としては三権分立の柱の一つですが、ほんとうに自主独立した機関とは言えない。国策、自治体の行政施策に反旗を翻すような判決を下すことはほとんどない。国民の多くはいつもいつも行政寄りの判決に呆れ、不信感を持っていると思います。国策にお目玉をくらわすような判決が出れば、きわめて異例で注目されます。

いきなり余談ですが、裁判官はそもそも法務省管轄の特別職の国家公務員だから、身分保証はされていても、昇進出世などの人事権は握られているので、国に逆うようなホネのある裁判官は少ない。睨まれて辺地をたらい回しされるのが嫌なのだろうが、この点では崇高なはずの聖職も一般サラリーマンとたいして違わない。

昔、裁判官の日常を映した記録映画をみたことがあります。主人公の実在の裁判官は、インタビューに対して、検察の起訴状を疑うようなことは全くありませんとケロリとして語っていました。これではもう裁判官なんか要らない、検察の判断がすべて正しいと認めているわけで、精緻な審理のうえ、起訴状の不合理をくつがえして無罪や冤罪を見抜く役割を放棄しているとの印象を得ましたね。

こんな裁判官がいるとはいえ、たまには住民が国策に異議申し立てた行政訴訟判決で、原告の要求を取り入れた判決が出ることがあります。すると、必ずに国策べったりの一部のマスコミ、識者、関係組織などは、どうせ上級審では覆る、覆るべきだとの意見や希望的観測を述べています。事実そうなる事案が過去にたくさんあります。このあからさまな三審制の流れにも司法不信の要因をみることができます。

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ところで、先月、横浜地裁が厚木基地騒音訴訟で、日本の空に関する興味深い判決が下されていました。裁判所が、そのような文言を使ってはいないものの、日本の空は米軍機の聖域であって、その取り扱いについて日本政府の公権力は及ばないと言っていると理解されるところがあります。改めて日米安保条約が一方的な米国優位の軍事同盟であることが分かります。判決要旨はこうです。

一、厚木基地騒音訴訟、米軍機の飛行差し止め請求については厚木基地に関し、国が米国に使用を許可するといった行政処分は存在せず、国内法令にもそのような行政処分の根拠になり得る規定はない。訴えは却下を免れない。



この訴訟は、米軍機と自衛隊機の夜間飛行はうるさくてかなわんからと、飛行差し止めを求めて住民多数が国を相手取って起こしたものです。横浜地裁は米軍機については引用文にある理由の通り、まったく審理の対象としませんでした。ただ、自衛隊機によるものは、損害補償と午後10時から翌朝6時まで飛行・訓練中止を認めました。まあ、自衛隊機についてぴしゃり歯止めをかけただけでも画期的な判決でありますが、、、。

ここでは自衛隊機のことは措いといて、米軍機のことについてですが、判決文では国のコントロールが及ばないから、審理対象にならないと言っているのです。この国の空を米軍機はいつでも、どこでも自由自在に飛んで、自由に滑走路に降りていますが、アベにも小野寺防衛相にも指揮権がないと言っているわけです。

つまり、この国の行政のトップも裁判官も手も足も出せない治外法権だと改めて指摘した判決文です。住民はこの点に不満を抱き控訴しましたが、政府レベルでは日米地位協定などの改定に向けて施策を講じるべきなのに、そっちは知らんぷりしています。

日米安保のもと、こういう条件下にあることはさすがのアベも小野寺も知っているはずと思いたい。にもかかわらず、アベ一派が偏執的に実現を求めている集団的自衛権の行使が、解釈改憲という不適切なやり方で認知されますと、有事の際、自衛隊機は、日本の制空権を握って治外法権でいる米軍指揮下に繰り入れられる、ということを意味しています。

現実の力関係から言って、自衛隊機は米軍の補完、先兵化されることは目に見えています。米軍の戦術戦略のもとでは、多くの住民が願った「静かな夜」の差し止めもいっぺんに吹っ飛ぶでしょう。

べトナム戦争の際、韓国は自ら希望して米軍指揮下で参戦しました。長丁場のあの戦争で韓国軍は約10年間に延べ32万の韓国将兵をベトナムの前線に派遣。その結果、実に戦死者5000人、負傷者8000人を出しました。非道な人的犠牲を米軍に献上しました。

その意味で米韓の関係は「血の同盟国」です。「血の同盟」といえば朝鮮戦争で北朝鮮を支援共闘した中国と北朝鮮の関係が知られています。米韓関係というのは、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争を通じての強固な血で結ばれた関係であって、敗戦国対戦勝国という日米関係とはつながりの深さ、厚みが違っています。

アベ一派がいくら韓国を誹謗し見下しても、アメリカ側による二国間関係では日本よりも韓国との絆の方が強いのです。国連軍の名目でいまなお米軍が駐留し、韓国軍は米軍指揮下にあるはずです。対中国、,対北朝鮮と接続する地政学的環境からも韓国はアメリカにとって重要な存在です。

アベ一派らが集団的自衛権行使を何が何でも容認したいのは、言ってみれば、韓国軍のように血の犠牲てもってアメリカの信頼を得たいと企図しているからでしょう。多数の日本の若者をアメリカの戦争に派遣させ、アベが好んで言うところの「英霊」を新たに輩出しても構わない。そうした国際(実情はアメリカ)貢献を暗黙の楯にアメリカとの関係を「オレとオマエ」のダチ関係にしたがっていると考えます。そういう関係になってアベは日本を国際社会での誇りある大国に押し上げるのだと早とちりしているのに違いありません。

平和国家の名誉を損なう、おびただしい流血と遺家族の痛恨の悲しみが生じることが必須の愚かな状態に時代錯誤の首相は引っ張って行こうと躍起です。そして国民の少なからずが、そうだ、そうだと手を打っているのです。国民をそんなふうに好戦的、国粋主義的にテンションをあげさす古典的な手法をアベ一派が必死で醸成しているのにハマっているのかもしれません。

近隣に仮想敵国を作り、誇大に脅威を煽り
敵が軍備を増強し、我が国に危機を威嚇しているぞ。
敵はわけもなくわが国家と国民を中傷誹謗しとるぞ。
いついかなるときにも敵の侵略に十全の備えを、
国民の生命、財産を守るために全力を尽くすぞ。

地球的規模の破壊戦争が予測された米ソ冷戦時代にさえ、起こらなかった事例をせっせと挙げて、国民を不安にさせたり、国民を脅したりしつつ、アベは、満州国副総理、大東亜戦争開戦時の商工大臣、A級戦犯だった祖父岸信介の亡霊を追う情念に取りつかれています。

(写真はGoogle引用)




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