朝日は発行部数を減らしたか。

いわゆる“W吉田問題”報道で揺れる朝日新聞に対して、朝日たたきの大合唱がいまも鳴りやまずです。合唱している一部のメディアは、敵失に乗じてカサにかかっています。スポーツならチャンスなんでしょうが、良識あるはずの言論界にあってはならない汚い手口です。歌っている連中の下劣さに呆れます。寅さんのような大道香具師さえやらない恥ずべき禁じ手です。メディアへの信頼をいっそう失わせる茶番です。

しかし、同業者をここぞとばかり貶めるやり口が続きますと、逆効果が見え始めてきました。一つは同業者の弱り目を好機と見て、同業者たたきを平然と拡販の材料にする姿勢に心ある人たちが厳しい目を向けています。これは商道徳を逸脱する愚行だと多くの人が感じているからでしょう。その汚い手の筆頭が読売ですね。

いまひとつは、アベ極右政権が大日本帝国の再来をはかろうとしている政策推進のためにメディアを分断している動きに乗せられていることが、だれの目にも明解になってきたことです。朝日、毎日、東京新聞および大多数の地方紙対読売、産経という色わけです。別の見方をすれば「アベ政権べったりグループ」対「アベ政権是々非々グループ」です。

今国会の噴飯もののエピソードが象徴的です。政権与党批判の絶えない野党に対して「撃ち方止め」とアベが語ったという報道が一斉に各紙に載りました。(10月30日付け朝刊) その真意を質問されてアベは国会答弁でキレてしまい、延々と朝日新聞非難を繰り返した。

あげくに「朝日の報道は捏造だ」、「朝日の社是は安倍内閣倒閣にある」などと決めつけました。この「撃ち方止め」発言は毎日も読売も産経も、つまりほとんどのメディアが報じたのに、アベが紙名をあげてこき下ろしたのは、朝日だけでした。アベの異常な朝日つぶしとメディア分断策が如実にうかがえます。

abez.jpg

abex.jpg


メディアの世界で旗幟鮮明に主張を掲げるのは、それなりに意味があることですから、同意しかねるメディアには近づかなければいいのです。読者ひとりひとりの態度は、それで十分なのですが、社会全体から見れば、たとえば個人の自由よりも国家大事、あるいは民主主義よりも全体主義というような、もうとっくに脱ぎ棄てられた国家主義を再び着用することをススメるメディアの存在は好ましい傾向ではありません。そういう政治思想が国民に辛酸をなめさせ、決して幸せにしないことがわかっているからです。国民を時代錯誤に引き込もうとしています。

さて、タイトルの「朝日新聞は部数を減らしたか」です。結論からいえば、あれほどの朝日非難合唱が狂唱されているにも拘わらず、減少数は大したことはありません。朝日たたきのパンフレットを各戸配達までして、販売拡張作戦を行った読売の成果は軽微にすぎません。

新聞の発行部数は日本新聞協会や日本ABC協会が加盟各社の毎月の部数動向を調べて発表しており、会員登録(有料)すれば閲覧が可能です。略称はABC部数です。新聞業界の内部事情に詳しいネット上のサイト「MEDIA KOKUSYO」 によりますと、9月の発行部数の増減を見ますと、


【2014年9月ABC部数(朝日朝刊)】
朝日(北海道) 123,769(-315)
朝日(東京) 3,976,148 (-36,109)
朝日(名古屋) 376,010(-91)
朝日(大阪) 2,098,770 (-1,523)
朝日(西部) 639,425(-117)
朝日合計 7,214,122 (-38,155)


確かに減ってはいますが、3万8千弱です。一方、8月下旬から朝日たたきの大販売作戦を行った読売はどうか。朝日たたきは、朝日から読売の購読紙を乗り換えを勧める露骨な作戦でした。


【2014年9月ABC部数(読売朝刊)】
読売(東京) 5,684,468 (9,102)
読売(中部) 159,489(181)
読売(大阪) 2,293,649 (17)
読売(西部) 797,781(-139)
読売(北陸) 96,968(144)
読売(合計) 9,242,614 (8,770)


確かに増えてはいますが、わずか8770部にすぎません。対費用効果からみても、おそらくペイしない数字でしょう。両統計の特徴点は、二紙とも東京で増減が目立つだけ、地方では影響はほとんど無関係なことです。思うに朝日の読者はもともと権力迎合色のナベツネ体質、金権ジャイアンツなんかには靡かないタイプなのでしょう。

「MEDIA KOKUSYO」は、上記とは別に興味深いデータを公表しています。新聞協会の8月現在での対前年同月比では「朝日新聞と読売新聞の8月の新聞部数の変動は、ほとんど変わらないことが分かった」としています。両紙の部数比較は次の通りです。


【8月の朝刊】
朝日:7,252,277部
読売:9,233,844部

【対前月差】
朝日:-14,589部
読売:-14,602部

【対前年同月比】
朝日:-303,582部
読売:-612,990部


1年間の長いスパンで発行部数の増減をみると、朝日30万部減に対して読売61万部となります。アベ政権べったり派の右翼メディアが、“W吉田問題”で朝日の読者離れが進んでいると報じているのは、真っ赤なウソであることを証明しています。

いずれ崩壊するアベ政権よりも新聞自体は年々、読者を失ってゆくことの方が民主的な社会にあっては重大事です。なんだかんだといわれても、莫大なコストと労力をかけて世の中全般の事実や情報を国民に知らせているのは、新聞事業のほかならないからです。多くのTVやら雑誌やらネットメディアには、まだ新聞の一次情報収集の能力に及びません。

新聞の存在理由は、多くの国民の側に寄り沿って、あらゆる権力監視を行うことにあります。これを怠る新聞は、単なる政党機関紙、宣伝紙にしかすぎません。頑張ってもらいたいのはアベ政権ではなくて、新聞業界です。

(写真引用はいずれもGOOGLE)

コメントの投稿

非公開コメント

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
プロフィール

tajifu

Author:tajifu

ブログ内検索
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる