友人を見舞う

認知症が心配されるという友人を見舞いました。別の友人と誘いあって,二人して会いに行きました。

見舞うなどというと、病床を訪れるようなイメージがあります。閑人の思い込みでは、多少そのつもりであったのですが、久しぶりに会ってみたら、見た目はとても元気そうなので、病気見舞いという言葉がふさわしいのか、そうではないのか、よくわからない感じです。

ただ、久しぶりに会った友人の状態がかつてのように身振りを交えて語り継ぎ、膝を進めてくるような活発な言動はぜんぜん見られませんでした。しかし、年齢相応の静かな落ち着きぶりというなら、そんな感じでもおかしくないという印象でした。

結局、閑人にちゃんとした認知症*1についての知識や理解がないから、友人の見かけや内面のありようからは判断が付きかねて、そういう当惑を感じたのだと思います。

最初に声をかけると、はっきりと閑人であることを認識していて、喜んで笑顔を見せて、懐かしがってくれました。ごくふつう正常な反応だと思います。喫茶店でビールを飲みました。勘定になると、強くこちらが負担することを牽制して、本人が支払い、おつりも受け取っていました。まったく平常のままの振る舞いで、気づかいすらを感じる場面でした。

友人の家族によりますと、会話はふつうに話せるが、すぐに忘れてしまい、本人も記憶力が低下していることを不安に感じている様子。日常の振る舞いもすっかり大人しくなってしまったと感じているそうです。そして、要介護2級と判定されて、週二回はデイサービスを受けるため通所しているそうです。

モノ忘れ、度忘れはじめ、記憶力の低下については、閑人はおそらく人並み以上にひどい状態です。あれはナンだったかな、あの人の名前とか、行った先の地名とかを思い出せない方が多いくらいです。思い出そうとあがいて、10時間くらいあとにホッと浮上すればいい方で、ぜんぜん水面下のままになることが多い。

そんな自身の記憶力の著しい減退に不安を感じることもあります。もうメモなしには、まともな暮らしを営めないくらいです。これが認知症の初期というなら、そうかもしれません。

友人と共通の話題は、やはり北陸方面でいっしょに仕事をしたことにまつわるものです。別の友人が、そのころの先輩や同輩の名を上げて話します。閑人もすっかり忘れていたことがよみがえってきました。なにしろ半世紀近い前のことですから、懐旧の思いが募ります。友人はご自身の先輩の名を上げて大いにうなずき、人物評もしましたが、そのあとで、その先輩を地元での顔見知りであったかのように話して、あれ、ちょっと混乱しているかなと思う話ぶりでした。

当時の話題や出来事などの話を続けていると、やがてどの話にも「遠い昔のことになったなあ」という言葉を何度も何度も繰り返すようになりました。疲れてきたのか、飽いたのか、よくわからないリアクションでした。昔話にはあまり関心がないというような態度になりました。

何よりもショックだったのは、初めに、デイサービスに通っていることを承知していましたので、「デイサービスではどんなことをしているの」と尋ねたとき、言下に否定したことです。

友人たちの手前、デイサービスを受けていることを弱さとか負い目とかと感じていて、それを知られたくなかったのか、(そういうプライドはよくある心情なので理解できますし、そうであれば内面の緊張感はしっかりされていることにもなります)。

それとも、本当に通所していることに自覚がなくなっているのか。そのへんの判断はわかりません。認知症の症状には、本人が本人であることの自覚が欠けるというようなことがあるそうですが、それに適応する返事なのか。

そこのところがはっきりわかりませんでした。閑人は、これまでに認知症になった人を身近に接触したことがありませんので、わからないことばかりです。

ただ、同じようにトシをとって、おなじように生命力が衰退しつつある。そんな共感を持てる友人と会えてよかった。トシを取ることは避けられない。それとともに心身の機能が低下することも不可逆なことです。有効な予防策も治療法もまだ確たるものがないとあれば、長生きしているために遭う災厄を諦観でもって受け入れなければならないかな。
        Today you, tomorrow me     今日は友人の身、明日は閑人の身

*1: 認知症とはどういうものか?
脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。

認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。

続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
(www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a01.html 厚生労働省HP)

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