「大阪都」 住民投票は反対へ そのⅠ

維新が進める「大阪都」という妄想。これに反対する閑人は、今回の統一地方選第二ラウンドで、吹田、寝屋川、八尾の三市長選で、いずれも反維新サイドが当選したことを寿ぎますね。

この三市は、いわゆる周辺隣接都市であるため、大阪市が万が一、市を廃止、特別区制になった場合、三市民によるそれぞれの住民投票を行うことなく、議会手続きだけで、「大阪都」制に編入される可能性がありました。反維新派の勝利で、ハシモトの言う「グレイト・大阪」妄想が、これでいっそう遠のいたことになり、喜ばしいことです。

4月27日付け新聞報道によりますと、吹田新市長は、「吹田市を吹田区にさせるわけにはいかない」と勝利宣言、また八尾での維新派候補は都妄想の本陣、マツイ府知事の秘書であったそうですから、その足元でさえ支持を得られなかったことになります。

こうした結果が、5月17日に予定されている大阪市民の住民投票の反対票へ大きく影響すればいいのですが、なかなか簡単ではありませんね。維新は、ハシモトの催眠商法まがいの住民説明はじめ、テレビCMやチラシ散布など金権・物量作戦で支持を訴えています。これだけのカネの出どころは、おそらく国政政党への配分される政治助成金を数億円つぎ込んでいると推察されます。

ハシモト支持者の多くは、B層と呼ばれる人たちと重なります。とりあえず行列があると並んでみる、テレビでいいとタレントがほめると買ってみる、話題はテレビで知ったことばかり、、、という層です。こんな層の名づけ親は、以前のコイズミ政権が郵政民営化選挙の際、有権者の動向を把握するためやった調査から分類されたものです。

もちろん、コイズミはそういう層を取り込む広告宣伝をやりました。維新のやり方も同じで、この層を取り込んでいます。要は、自前の判断力を持たず、風向きしだいでどっちにも揺れる人たちなので、住民投票の賛否については油断はなりません。

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さて、哲学者、適菜収さんは、5月号の月刊誌『新潮45』で、『「大阪都構想」の大嘘』ーーこれぞ戦後最大の詐欺である』
とのタイトルで、大阪都妄想に関する市民説明会で催眠商法並みの弁舌で市民をだましているハシモトの手口を紹介しています。現在発売中とはいえ、適菜収さんはこの記事の拡散を希望して、公開されていますので、二回に分けて全文引用します。

全文掲載・これぞ戦後最大の詐欺である 適菜収(作家、哲学者)+本誌取材班――特集 「大阪都構想」の大嘘.

■いざ大阪

 来る五月一七日、大阪市で住民投票が行なわれる。多くの人が誤解しているが、これは「都構想」の賛否を問うものではない。住民投票で賛成票が反対票を上回っても、「大阪都」にはならない。では大阪市民に何を問うているのか?
「大阪市を解体し、権限、カネを手放すのかどうか」である。実際、大阪市長の橋下徹本人が「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」(『読売新聞』二〇一一年六月三〇日)と発言している。

住民投票で賛成票が上回れば、大阪市は完全に消滅、五つの特別区に解体され、府の従属団体になる。当然、大阪市民は自治権を失う。常識があれば、こんな百害あって一利もない制度に賛同するはずはない。
 四月四日・五日の『産経新聞』の世論調査では、「都構想」に反対する大阪市民が四七・五%、賛成が三六・七%という数字が出ているが、まだ目が覚めていない市民が相当数いるわけだ。

 私が橋下を批判すると必ず次のような反発が寄せられる。
「実際、大阪はよくなってきたんや」
「橋下さん以外に大阪の既得権益は破壊できない」
「橋下さんはばらまきの補助金をカットした」
 こんな趣旨のメールも受け取った。
「二重行政を解消しないかぎり大阪の未来はない。適菜さん。一度、タウンミーティング(以下TM)に来てください。橋下代表が正しいことがわかると思います」

 それならば行ってみよう。三月一五日早朝、私は簡単に荷物をまとめ、JR東京駅から新幹線に乗った。
 橋下および大阪維新の会は、現在精力的にTMを行なっている。すでに四五〇回(四月四日時点)を達成。さらに住民投票に向けてペースを速めていくという。

 JR大阪駅でタクシーに乗り換え、一〇時五〇分、この日最初のTM会場である此花区民ホールに到着。
 開始一〇分前だが、会場の入り口には長い行列ができている。スタッフがたむろする一帯を通り抜けると、そこには昨年の出直し市長選の際、マック赤坂を羽交い絞めにした「大入道」と呼ばれる男がうろついていた。

 参加者は老人がほとんど。若者を目にすることはなかった。男女比はおよそ半々か。入場時には、鞄の中身がチェックされ、空港にあるような金属探知機を通らされる。入り口付近で案内をしているスタッフは、普通のおじさん、おばさんであり、悪意があるようには見えない。おそらく橋下が大阪をよくすると深く信じているのだろう。

 定員五〇〇名の会場は満席。私は椅子に座ることができず、会場の一番後ろで立ち見することになった。
 最初に大阪府議会議員の尾田一郎が挨拶。続いて大阪市会議員の大内啓治が短いスピーチで会場を煽る。
「(都構想の)財政効果はもう無限大と言っていいほどあります。あります!」
 壇上脇には左右にSPが二人。さらに椅子席周辺で八人が目を光らせている。

 一五分後、満を持して橋下が登場。ニコニコしながら、聴衆に話しかけた。
「すみません、皆さん。おはようございます。こんな政治の話、別段面白くもなんともないと思うんですけど、これだけ多くの皆さんにお集まりいただきまして、本当にありがとうございます」
 橋下は聴衆に感謝し、
「もう僕は今、この段階に至りましたから、賛成の立場だけでは言いません。賛成の立場と反対の意見、これを両方出します。そして、どこが考え方の違いなのかということをお伝えします」
 とフェアに戦うことを宣言した。

 橋下は軽口で笑いをとりながら、会場の空気を読み取っていた。都構想に批判的なジャーナリスト大谷昭宏の悪口を言ってウケると、方向を見定めたようにメディア批判を展開する。
「毎日新聞なんか、本当にどうしようもないです。相変わらずくだらんことばっかり社説で書いてね。ぐだぐだ、メリットがどうだ、こうだ。皆さん、大阪都構想というのは、もう立場の違いの話です。自分はどっちの立場につくのかという話で、細かなメリット、デメリットの話ではありません」
 え?
「都構想」とはあくまでメリットとデメリットの話である。だからこそ橋下はメリットは「無限」と言い、大阪維新の会幹事長の松井一郎は「都構想はデメリットがない」(『産経新聞』三月一五日付)と強調してきたのではないか。
 橋下は「住民の皆さんの理解を得ることが一番重要だ」と述べる一方で、TMでは「細かい内容を理解する必要はない」と吹聴しているのだ。

■催眠商法の手口

 ここからが本領発揮である。
「今の大阪府、大阪市にはものすごい問題、これはもうある。これを解決しないことには大阪には未来がない。これが大阪都構想、賛成の立場」
「今の大阪府、大阪市を前提にしてもいくらでもそんなのはなんとかなるよという立場が、大阪都構想反対派の人たちです」
 複雑な事象を単純化し二項対立に落としこむ。
「さあ奥さん。どちらを選びますか?」 
 というわけだ。橋下は畳み掛ける。

「ここで立場が違うんだから、話し合ったってしようがないわけですよ」
「大阪市という名前、死んでもこれは手放せないという人たちは、大阪都構想反対派です」
「東京を飛び越えてニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、バンコク、そういうところに並んでいく大阪というものを目指そうとする。これが大阪都構想賛成派」
 次第に話が大きくなってくる。私の目の前に座っている中年男性二人が、深く頷きながら橋下の話に聞き入っている。催眠商法の手口だ。老人を密室に集めてテンポよく語りかける。

「スポンジ、今日は一円でいいよ」
 老人たちは我先にと手を出してスポンジを奪い合う。
「洗剤は一〇円でいい。先着一〇人だ」
 老人たちの鼻息が荒くなる。そして我に返ったときには、高額の羽毛布団を買う契約書に判を押しているわけだ。

 政令指定都市である大阪市が解体されたら、金欠により都市計画も進まず、ニューヨーク、ロンドン、パリどころか、町や村以下の特別区になるのである。自民党大阪市会議員団幹事長の柳本顕が「毒饅頭」と言うのはこれだ。
「大阪が現状維持でいいというわけではありません。改革すべきところは変えなければならない。しかし、うまい話に飛びつくのは危険です。そこには毒が盛られているかもしれません」(柳本議員)

 橋下はヒートアップしていく。
「これからの時代、やっぱりその枠を飛び越えた新しい大阪をつくっていこう。そして今の大阪を考えるんじゃなくて、子供たち、孫たちに二〇年後、三〇年後、四〇年後に新しい大阪を残していこうと考える人たちは、大阪都構想賛成派になります。大体これでどちらの立場に立つかということは決まってしまって、これで賛成、反対になるんです」
 もちろん、ほとんどの聴衆は「大阪都構想賛成派」になるのである。

 TMに参加して、驚いたことが二つある。一つは橋下の気迫だ。一時間以上一気に喋り倒す。私は聞いているだけで(肉体的にも精神的にも)疲れたが、橋下は喋り倒した上に、この日は五ヶ所の会場を回っている。普通ではない。相当強い動機があるのだろう。

 二つ目は内容である。スピーチの構成はよくできており、心理学の手法を応用した巧妙な詐欺である。その場では検証できない数値や嘘を積み重ねていくので、ある程度の教育を受けた人でも事前に情報や知識がなければ騙されてしまう。ましてや地元の老人が橋下の嘘を見抜けるとは思えない。

 橋下が毎回のようにTMで使っている「府市二重行政の弊害」というパネルがスクリーンに映し出された。
「WTCビル(現大阪府咲洲庁舎)は住之江区にあります」
「この高さ、二五六メートルです。一方、大阪府がつくったりんくうゲートタワービルは関西国際空港の前にありますが、高さ二五六・一メートル。一〇センチ高いんです、こっちのほうが。大阪府のほうが偉いだろうということで、大阪市よりも高くしたんです」
「同じだけの財布を握っている者が二人いると、結局、張り合うんですよ」

「二重行政」は重要なキーワードである。大阪府と大阪市の二重行政を解消することにより、税金の無駄遣いがなくなり、財源が生まれる。これが橋下らが唱える「都構想」の「効果」である。これにより当初は年間四〇〇〇億円の財源を生み出すのは「最低ライン」と言っていたが、大阪府と大阪市が試算した結果は九七六億円。さらにその数字も橋下の指示による粉飾だった。この件について記者から追及された橋下は「議論しても仕方ない」と言って逃げている。

 現在、大阪市会の野党が出している「効果」は約一億円だ。この時点で当初の四〇〇〇分の一だが、さらに制度を移行するための初期投資に約六〇〇億円、年間コストが約二〇億円かかる。「一円儲かるから六〇〇円払ってください」と言うのと同じで、「都構想」とは足し算ができれば誰でもわかる詐欺なのだ。

 なお、WTCビルは大阪市港湾局が中心となって計画し第三セクターが建てたもので、単なるゼネコン事業の失敗である。二重行政とはなんの関係もない。実際、大阪府議会で、自民党の花谷充愉幹事長が「こうした施設(WTCビルなど)は特別区でも設置できるのか」と質問すると、大都市局の理事が「特別区で実施できないものではない」と答弁している。

 花谷は「二重行政を二度とつくらない大都市制度という宣伝は、有権者を騙すことになる」と指摘していたが、橋下の目的は最初から有権者を騙すことにある。過去の事業の失敗例を恣意的に抽出し、制度の問題にすり替えて批判するわけだ。
 橋下は言う。
「なぜ二重行政になるのか」
「大阪府知事と大阪市長、一人一人がいるからです」
「これを一人にしてしまえばいいんです。これが大阪都構想の考え方」
「え、そんな単純なことなのと思われるかもわかりませんが、そうなんですよ」

 そもそも、五月一七日の住民投票で問われるのは大阪市を解体するかどうかである。その手続きを記載した『特別区設置協定書』には、「大阪都」「都構想」「二重行政」という言葉は一切出てこない。「二重行政の解消のために都構想を実現する」という話は住民投票とはなんの関係もないのだ。

 また、政令指定都市は国内に二〇あるが、二重行政を問題にしているところはほとんどない。『読売新聞』(三月二九日付)が政令指定都市および政令市のある道府県の首長計三三人(大阪市長、大阪府知事を除く)に対しアンケートを行った結果、政令市分割が必要とした首長は一人だけ。逆に多くの首長は政令市の権限・財源の拡充を主張している。

当たり前だ。自ら権限や財源を放棄するバカはいない。橋下らの狙いは、大阪市民からカネを騙し取り、府の借金返済に流用したり、湾岸部にカジノを建設し、そこへアクセスする交通網を整備することだろう。そこに莫大な利権があることは容易に想像がつく。
 過去に橋下はカジノ議連の席で、
「小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください」
 と発言している。未来ある少年少女を博打漬けにしたいのか


以下続く

(写真はGoogle引用)

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