安保法制案 潮目が変わった

うっとしい梅雨空を晴らす、面白いオウンゴールのようなことがありましたね。笑っちゃいました。もっとも、明るい笑いではありませんが、、、。

4日に開かれた衆院憲法審査会でのことです。自民・公明,次世代が推薦した憲法学者が、いま国会で審議中の「安保法制案」について、「憲法違反」だとはっきり明言しました。他の野党推薦と合わせて、参考人全員が「憲法違反」だと断じる結果となりましたね。*1

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こうした場合、与党側は通常、自らの法案におもいっきりヨイショしてくれる御用学者、おべっか有識者を参考人に呼ぶのが、まあ、決まりです。そのうえで公聴会のようなかたちを開くのは民主的な手順を踏んだというアリバイつくりです。

ですから、連れてきた陳述人が自分たちの言い分に真っ向から反対するなんてことは、予想していないことです。少年マンガのサビ部分で突如、意外な展開となったような面白さです。自民の審査会会長はメガネ越しの白い目をむき、自・公・次世代と役人たちは慌てふためいて言い訳をし、憲法学者を貶め、アベ・スガの官邸は激怒、つじつま合わぬ弁明に追われ、炎上したのもむべなるかなです。

なんですねえ、サッカー選手が誤って自陣にボールを蹴りこんで相手チームに点を与えたようなものです。ただし、オウンゴールと見るのは、与野党の思惑であって、当の憲法学者にしたら、アベ政権に断固としておもねらず、学問上の正しい論理を説明した信念の発言でしょう。アベよ、アベよとなびくマスコミ、評論家、時流にのる売文センセイたち、TVコメンテイターたちへ時宜にあった明解なお手本を示しました。

安保法制案について与党の本音は、野党や世論はうじゃうじゃ言ってるが、どうせ審議を十分重ねたとして、強行採決すればいいと腹ン中で思っているから、憲法学者のちゃんとした立ち位置まではチェックしなかったのだろう。傲慢の果ての大失敗です。安保関連法制を案じる多くの国民にとって、力強い贈り物となりました。

憲法学者ならずとも、アメリカの戦争を買って出て、地球の裏側まで自衛隊を派遣し、国民が血を流すこともありうるというような物騒な内容の安保法案が、憲法違反だということは、ちょっとマトモな頭の持ち主ならだれでもわかることです。

憲法9条は、それ自体がこの国の平和主義を宣言しています。世界に誇り高い平和憲法と言われています。9条の骨子はこうです。
一、戦争放棄      (争いの解決を永久に武力で行いません)
二、戦力の不保持   (そのため陸海空軍を持ちません)
三、交戦権否認     (ですから戦争する権限を持ちません)

素直に読めば、まさしく平和主義に徹した内容なんですが、それでも歴代政府は、9条は「自衛のための最小限の実力」をもつことを認めていると解釈してきました。攻め込まれることがあれば自衛のために戦う(個別的自衛権)ことは許されるという「専守防衛」路線です。対ソ脅威の東西冷戦下にあったアメリカからの外圧と自主軍隊を持ちたい自民政府がすり合わせて生まれた妥協の産物です。これとても相当,ムリな解釈でした。

いまや20数万人にのぼる陸海空の兵員、戦闘機や戦車、イージス艦まで保持しながら、それでも軍隊ではないと言い張っているのは、無理に無理をかさねているのです。とはいえ、まだ9条の枠内を意識した抑制がありました。これ以上に拡大解釈するのは、いくらなんでも限界とするのが国民の一致した見解でありましょう。どうしても、やりたければ正面から改憲の道筋を踏まえるべしというのも国民の共通理解だと思います。

ところが、アベは昨秋ごろから国会で改憲が無理とわかるや、憲法解釈を閣議決定だけで変更し、アメリカどころか他国の戦争にも一緒に戦う(集団的自衛権の行使)まで可能としようと画策、国会での法案提出よりも先にアメリカで夏までに成立させると約束してくるような傍若無人な暴走しています。どこの国のトップが自国民より先に他国の国益優先のために法制の大転換を約束しますか。バカさ加減に呆れる話です。

このようなアベの一大妄想を託した安保法案が、憲法学者全員で違憲とみなされたわけです。当たり前の話ですが、事前に違憲と認識された法律を作れるわけがありません。*2

アベのアタマには、祖父岸信介コンプレックスに取りつかれた妄想しかないようです。現憲法が占領軍アメリカに[押し付けられた」と認識して、戦前回帰の自主憲法を作ろう、その際には海外ににらみを利かす軍事大国を可能にするフリーハンドを組み込んでおきたいというトンデモナイ願望から生まれたのでしょう。

アベは、自身のような未熟モノが間違って二度も首相の座につけるという政治的状況をよく考えもしていないようだ。現行の衆参両院の指名選挙で首相が決まるという仕組みは、そもそもアベが嫌がる「押し付けられた」現憲法のおかげだということが理解されていないらしい。*3 世が世であれば、天皇の「大命降下」でしか首相になれないのだから。

敗戦の結果、この国が取り入れた政治・経済・社会改革がすべてアメリカから「押し付けられた」から再改革しなければならないという道理はない。大日本帝国を復元しますか。「大命降下」に戻しますか。皇軍を再編しますか。「押し付けられた」基本的人権の尊重やめますか、男女平等やめますか、普通選挙やめますか。主権在民をやめますか。いいものはいいのです。

憲法学者たちの明白な違憲判断が伝えられてから、安保法制論議の潮目が変わった。お墨つきをもらって、やっと弾みがつく情けない野党はじめマスコミも安保法制案ハンタイのボルテージが高まった。結束が強まった。このままではアベの強硬策を見て見ないふりをしているアメリカに対しても、反米の空気が高まるかもしれない。

アベは祖父岸信介と同じようにハンタイ、ハンタイの渦のなかで強行採決を図り、同じように辞任するつもりなのか。*4 隷従するアメリカへの風当たりが強まるまえに 強行採決をやめて、自ら辞任する道を選ぶときですね。アメリカはアメリカの国益にややこしいトラブルを持ち込む為政者に対しては、冷たいですよ。

*1:2015年6月5日付け朝日新聞電子版 「戦争参加するなら戦争法、集団的自衛権範囲不明瞭」憲法審査会 学者指摘。および毎日新聞電子版「安保法制は憲法違反」参考人全員が批判。
*2:憲法98条 憲法の最高優位性を規定。違憲の法令等は無効。
*3:憲法67条 内閣総理大臣の指名選挙 (旧憲法にはない規定)
*4:岸信介   太平洋戦争開戦時の商工大臣、A級戦犯。放免されて政界に復帰。60年安保、野党を議会に入れずに新安保            条約を強行採決。そのあと退陣。
ウイキペディア  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E4%BF%A1%E4%BB%8B

  (写真はGoogle引用)

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