脅威を煽る安保法案

アベ一派がごり押しで進めている安保「違憲」法案は、その必要性の根拠に、北朝鮮、中国の脅威をあげています。

あたかも明日にでも北朝鮮のミサイルが飛んだ来たり、中国軍が先島諸島に上陸してくるかのように危機感を喧伝しています。またホルムズ海峡に機雷がバラまかれるかのように国民を脅しています。

この国をハンドラ―*1しているアメリカは、そこまで情勢が瀬戸際化しているとは思っていないようです。しかし、アベ一派がしゃかりきになって軍備増強に走りたがっているのは、アメリカにとっては安全保障上まことに都合がいいことにちがいありません。好んで米軍の指揮下に入り、パシリをやりたがっているのですから、アメリカが拒むことはない、お手並み拝見というところでしょう。

こういう危機感をあおるモノ言いが、この国を風靡したことを忘れません。1950年代からソビエト連邦が崩壊、冷戦が終わる90年代までの間、この国では政治、経済、社会のすみずみまで「対ソ脅威」の言説が大手を振っていました。善悪の基準や価値判断のすべてが、対ソ脅威にかかわるかどうか、にありました。

共産主義、社会主義についての支持を語れば、学生は就職が難しく、従業員は職場では冷や飯を食らわされたり、異端視されたり、あげく職を失うことさえ茶飯事でした。

いわゆる「ソ連の脅威」論です。ところが太田述正なる防衛省のキャリアで、大臣官房審議官までつとめた人物が、退任後のテレビ番組*2で「ソ連の脅威論、あれって防衛省の捏造でした。事実はそうでなかった」とあっさり暴露してしまいました。

なんで脅威論を煽ったかというと、「だれも損をしなかった」といい、脅威論を唱えている方がアメリカの覚えがめでたく、かつ国内的にも(人員増強や装備強化などの)予算を獲得するのに都合がよかったことを認めていました。ソ連軍の極東部隊は手薄で、じっさいには脅威ではなかったというのです。

このような証言に照らすと、いまアベ一派が煽っている周辺諸国の脅威論についても、事実を歪曲したり、でっち上げの部分が多いのだろうと勘繰ります。国民に明るみにしたくないすべての事柄を特定秘密とする秘密保護法をつくっているんで、なおさらです。

周辺危機を煽り、軍備強化を図れば、盟主アメリカは大いに喜ぶし、軍需関連産業は大いに潤うし、株高になるし、国策批判の言論を封じられるし、国民は都合よく統制しやすくなる、、、太田述正の言う通り「だれも損をしない」からです。

ただ、太田述正のような元防衛官僚のアタマには、その結果、言論の自由や基本的人権が損なわれ、苦痛を強いられた国民がいたことに何の反省もありません。国策に従ったまでという印象です。「損をしない」なかに国民が含まれていないことに気づいていません。おそるべき役人根性です。

アベ一派は過去の侵略や慰安婦問題など歴史認識をごまかし、靖国神社を参拝したりして、北朝鮮や中国を刺激し続けています。世論を都合よく誘導するために、わざわざ外に大きな脅威があるとフレームアップして、内を固めようというのは、時代錯誤の手法です。

アベ一派のやっていることは、他人の足を踏んだ側が、踏まれて痛がる側に誠実な謝罪をしないで、逆に凄んでみせる構図です。何度でも頭を垂れて、お詫びをすれば済む話を、ややこしくして、さらにいつでも踏みやすいように重く頑丈な靴に履き変えようとしているわけですから、踏まれた側が用心深く、警戒するのは、当たり前の話です。ケリをつけるのは踏んだ側にあります。

目には目、歯には歯を剥く力による安全保障施策には、キリがないからです。そのことがよーくわかっているから憲法9条が生まれた。330万人の国民が亡くなり、山河が焦土と化した敗戦の教訓から生まれた尊い知恵です。「違憲法案」とともにアベ一派の退場を迫りましょう。


*1: ハンドラ―というのは、もともとは犬や馬の調教師のこと。ジャパン・ハンドラ―というのは、政治や金融面で日本政府の中枢を操る米国の一部の要人たち。孫崎亨のブログ「晴耕雨読」にも例が表示されています。http://sun.ap.teacup.com/souun/4221.html

*2:太田述正のブログ http://www.ohtan.net/video/takajin20071104.html
「ソ連脅威論は冷戦時代の大嘘でした」 たかじんのそこまで言って委員会

コメントの投稿

非公開コメント

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
プロフィール

tajifu

Author:tajifu

ブログ内検索
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる