心こもらぬ安倍談話

この際、何を言いたいのか、あちらこちら網羅的で、しかもポイントがあいまいなアベ談話を読んで、くたびれた。暑い盛りに読むものではない。

こんなものなら、何も談話を出す必要がない。簡潔に要点を書かれた「村山談話」で十分だ。アベは「村山談話」を全面的に継承すると言えば済んだ話。早くから、談話発表を明言し、閣議決定するのしないのと、やいのやいのと騒ぎ立てたのは、なんだったのか。

あえて出したのだから、アベはどこでアベらしさを出したかというと、キーワードとされる「侵略」、「植民地支配」、「反省」、「お詫び」について当事者意識から遠い不誠実な表現、責任逃れをしています。政治家にあるまじきキャラであることを改めて浮き彫りにしていました。祖父岸信介への偏執から生み出されたと見られる時代に逆行する歴史修正主義者の顔を隠しきれていません。

たとえば、談話公表後の記者会見で、侵略について問われた首相は、談話内容を諮問した「21世記構想懇談会の報告書のなかにあり、なかには侵略と評価される行為があったと思います」と他人事のように述べています。日中戦争について自分はどう思うという肝要はところが欠けるのがアベ話法です。開戦時の閣僚だった祖父岸信介を尊敬し、いまなおその呪縛から抜けきれない三代目の愚鈍さです。

さらに会見でアベは「不戦の誓いを堅持していくということが今回の談話の最も重要なメッセージであると考えています。その上で、具体的にどのような行為が侵略に当たるか否かについては歴史家の議論に委ねるべきであると考えています」と逃げています。

「後世の歴史家に委ねたい」というのは、歴史認識についてのアベの決まり文句だが、あの大戦から70年もたった今、歴史家に委ねるというのは逃げ口上にすぎない。政府指導者としてのアベ自身は、どう思っているのか。そこがない。言外に「あれは自存自衛のための聖戦」と信じているのにほかならない。先の大戦へのまっとうな認識なしに、集団的自衛権の行使を可能とする安保法案成立を図ろうとしている今、「不戦の誓い」などときれいごとをしゃべっても信用できません。

談話の前半は中高校の歴史教科書みたいな記述が続く。こんな部分は不要である。おそらく西洋列強の帝国主義を日本も見習っただけだといいたいようだ。もちろん、列強もやったじゃないか、悪いのは日本だけじゃない、と列強を引き込むことで日本のやったことを矮小化しようという意図がありありです。

村山談話、小泉談話の三倍もの長文だそうだが、長文にするだけの納得できる内容であればいいのだが、使いたくない「お詫び」やら「侵略」やらのキーワードを不承不承、水で薄めて使ったぶんだけ量が増えたのだろう。強制連行や従軍慰安婦の問題についても婉曲な表現で逃げています。

繰り返しますが、これまでの言動からアベは確信犯のように歴史修正主義者です。彼の腹のなかには「植民地支配」やら「お詫び」を全然受け入れるつもりはぜんぜんないが、追従するアメリカはじめ国際社会の反応を気にして、主語ぬきのあいまいな記述に終始したと見受けられます。熱い心情の披瀝とか、誠意に満ちたまなざしなんかとは無縁の談話です。

もともと村山談話というのは、保守派の政治家や極右論壇が歴史認識をめぐり周辺諸国を刺激し、軋轢を生んだことに対する日本側の姿勢を表明したもので、これが基本姿勢だと思います。ふだんから村山談話を尊重すると話しておれば、周年ごとに談話を出す必要性がない。

にもかかわらず、小泉談話に続き、安倍談話を出さざるを得ない一番の理由は、彼らの言行不一致が原因にあります。つまり言うこととやってることが違うじゃないかという諸外国や国内の良識的見解への言い訳です。彼らは口先とやることを平気で使い分けています。それが周辺諸国を怒らせているのです。

安倍談話は結び近くで、「将来世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とあります。謝罪を繰り返す愚行を次から次と起こしているのは、ほかならぬアベ自身の靖国参拝であったり、侵略や慰安婦問題についてのアベ一派の発言であったりしていることを棚にあげています。

平たく言えば、「あんたらが、世間(世界)の常識に反して、ラチあかんことをやってるから。お隣さんが怒ってはるのや」という認識が土台から欠けています。歴史修正主義で国民を洗脳教育し、大日本帝国の威信を取り戻そう、軍事力で大国になろうなどと画策するアベ一派のような勢力がある限り、将来世代もまた謝罪を繰り返さなくてならない羽目に陥ります。

現に、談話発表の翌日の敗戦記念日に、アベは代理人を差し向けて靖国神社に玉串料をささげましたし、極右閣僚や党幹部たちが参拝しています。靖国神社には先の大戦を指導した戦犯が合祀されております。参拝することは、そうした戦犯をも崇め敬うことを意味します。そのことを膨大な被害を受けた周辺の国家国民としては容認しがたい気持ちを持っています。そういう世界に共通する自然な人間の感情をまったく逆撫でする行動です。

舌の根が乾く間もなく、近隣諸国に不快感を与えているじゃあーりませんか。こんな懲りない面々が居る限り、これからも謝罪を迫られる。将来世代にとっては、ほんと迷惑な話でしょう。



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