「善き人のためのソナタ」を観る


sonata



社会主義の罪は、いろいろあるが、独裁を維持するために言論の
自由を完璧に抑圧した。あらゆる人間を独裁のために奉仕する仕組み
に変革しようとしたのが、最大の罪悪であろう。そして皮肉な
ことに、そのことから社会主義体制の崩壊の穴が開いた。

この映画は東ドイツの諜報機関、国家安全保安省の徹底した人間
監視システム、標的にされた劇作家や女優の動静の物語であるが、
国家安全保安省の監視役自身が、自由に目覚めて、自分の属する
体制に無言の抵抗を試みた話。ナチズムに抵抗した「シンドラー
のリスト」などと同じように冷血無比の鉄の国家であっても、自
由の尊さと人間性に立ち返る個人がいるとことをドキュメントふ
うに描いて、感動的だ。

トイレから寝室、居間あらゆるところに盗聴器を仕掛け、その言動
を24時間、2人が交代で監視する仕組みの詳細は、非常に興味深い。
監視から逃れるための小細工、それを見抜きながら、泳がせて監視
を深める駆け引き、愛する劇作家の安全を計るため体を代償にする
女優、、、。

 ラストの改心監視役の台詞がいい。東ドイツ解放後、郵便配達
になった男が、劇作家の書いたタイトルの本を書店で買う。書店員
が尋ねる。
   「ギフト用に包装しますか」
   「いや、いい。僕自身のためだから」
 
 監督;フロリアン・ヘンケル・フオン・ドナースマルク
          ドイツ映画、ビデオ版

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