一日古本屋さん

古本市という名のフリマに参加、古本屋の”因業おやじ”という仕事を経験しました。

閑人が若いころ通った古本屋さんには、たいてい店の奥の帳場に二コリともしない、メガネのおっさんが座っていた。このおっさんの不審尋問しているような視線が苦手だった。よく通ったのは、当時、国鉄といわれた駅の壁に張り付くようにあった、おばちゃんが開いていた小さい古本屋でした.。おばちゃんの熱心な勧めで、三島由紀夫をよく読んだことを思い出します。

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さて、フリマは、古い町並みにある日本酒の酒蔵跡が会場です。高い天井を見上げると、年代物を感じさせる太い梁がむき出し、それを支える柱も頑丈な大木の幹。蔵の真ん中あたりに大きな円形の古びた板がおかれています。ベンチにちょうどいいのだが、これば酒つくりの樽の蓋であったと訳知りがしゃべっていました。普段は使われていないところだそうだが、小さなコンサートや演芸や美術作品の展示などにも使えそうな雰囲気の建物。

古い町並みを元気づけようと懸命な地元の女性たちの働きがあってか、二十数店が集まりました。主催者から提供されるリンゴ箱一つが、古本屋ごっこのショーケースです。閑人は、自著もふくめて登山関連の文庫や新書を並べて、開店しました。出店者は酒蔵の壁の沿って並び、奥の一段高い舞台のような一角には、コーヒーショップやオーガニックのパン屋さんが出店しています。

出店者たちは、女性の方がだんぜん多い。コロコロ付の旅行鞄を引っ張ってきて、小さな組み立てイスにひざ掛けをしてすわっています。手際がよいのに感心します。おそらく、あちこちのフリマに参加しているのだろう。並べている本は、もっとも多いのは文庫本のようだったが、ファッションや趣味の雑誌のバックナンバーやマンガ本、絵本などさまざま。

ところで、肝心のお客さんのことですが、なかなか千客万来というわけにはいかない。お天気もよかったので、散策の人たちは多かったようですが、街並みはずれに位置する酒蔵までは足を運んでもらえない。お客さんでわっと盛り上がるようなにぎわいを予想していたので、拍子抜けの感じ。

ともあれ11時から16時までの開業時間、閑人の店では7冊のお買い上げがありました。初フリマとしては、出来がいいのか、不出来なのかわかりません。ここに書き留めるほどの売り上げにはならなかったけれど、興味ふかい体験でした。

リンゴ箱のまえにしゃがみ込んで、長い間、本を選んでいたのは、若いけれど目立たない服装の女性。ちかごろ山にあふれる山ガールとは縁がなさそうな印象の彼女が買ってくれましたのは、堺誠一郎の『キナバルの民』(中公文庫)。

この本は登山とはなんの関係もないボルネオ島に住まう先住民のことを記したもので、かつて、そこのキナバル山に登り行くときに参考になるではと買ったものでした。渋い好みだなと思ったので、声をかけました。
「それは登山とは直接関係ない本ですよ」
「ええ、よその国の人たちに興味がありまして、、」

なるほど、納得しました。人は見かけではわからないものです。山の本にほぼ限定しましたので、一瞥して関心なく通りすぎる人もあれば、じっくり一冊ずつ引き抜いて調べたあげく、隣に移る人も。古本屋さんごっこというのは、接客は地味なもので、退屈でもある半面、いろいろな人をすぐ傍らでウオッチングしているような面白さがありました。

次の機会があれば、またやってみたい。閑人の暮らしにあっては、いいパスタイムでしたね。

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