EU離脱

イギリス国民は、EUからの離脱を選びました。
有権者4650万人。離脱派が約52%、票数にしてわずか120万票余りの僅差で、この歴史的な審判が下りました。たとえ1票で多い方に民主主義の正義があるとする二者択一方式の国民(住民)投票の威力です。

どこやらの住民投票を強行して敗れたハシモト某とちがって、言い出し兵衛のキャメロン首相はいざぎよく辞意を表明しました。当然の成り行きです。

キャメロン首相が国民投票に踏み切ったいちばんの争点は、次のようなものでした。

「どんどん外国からの移民を受け入れると、われわれの仕事が奪われる」
「安い移民労働が増えれば、われわれの賃金が上がらない」
「元からいる国民の福祉や医療や住宅までがダウンする。移民受け入れ政策をやめろ」

EUは第一次、第二次世界大戦で廃墟になった欧州が再び戦禍にまみれないように、「一つの欧州」を目標に仏独主導で組織化されました。ゆくゆくは政治経済、安全保障の面から”超国家”になるという壮大な試みです。そのため、加盟国間では、ヒト、モノ、カネ、情報を共有しようという課題を、次々と実現してきました。統一通貨、ユーロを生み出したのも、その大きな成果とされました。

イギリスが毎年どんどん移民を受け入れていますのは、このヒトの移動・定住の自由を規定するEU法のためです。水が低きに流れるように、加盟国のうちの貧しい人たちは、豊かなイギリスを目指して移り住む。

イギリス国民から湧きあがった移民政策への不満は、実はイギリスのもならず、仏独やベルギー、北欧にとっても、同じ問題です。しかし、ヒトの交流を自由化するというのは、「一つの欧州」にするために避けて通れません。これに門戸を閉ざすかたちで収拾すれば、壮大な実験は失敗です。

確かにヒトの自由往来は、当初から懸念されていました。テロリストや犯罪人、麻薬や武器などの禁制品の密輸出入が容易になり、安全保障面で問題があるといわれていました。、

なんとも悩ましい課題をキャメロン首相は、国民投票というやり方で収めようとしたわけですが、「仕事」「給料」といった切実な不平不満に理性的な理解を求めることはむずかしかった。

ざっくばらんに言えば、「アイツら邪魔なんだから、受け入れるな、追い払え」。この自国民優先の排外主義的感情は燃え上がると、なかなか沈静化しない。この感情を煽って、EUからの独立を叫ぶ右翼政党や団体が輩出しました。残留を訴えた女性議員を射殺する事件まで起きたのは、この熱狂のせいでしょう。

その意味では、移民受け入れを認めて、共存もやむなしとする残留派がほぼ拮抗したことは、イギリス人の賢明さだと思います。正式な離脱がスタ―トするのは、およそ2年後となるそうだ。欧州で二度と戦争を起こさないとして、当時のエネルギー源、石炭の共有管理から始まった欧州統合というEUの理想は危機に瀕しました。

人類は二度と戦争をしない、戦争はできない。そういう国際的な誓いを装置にした国連は、とうに行き詰ってしまった。EUも崩壊の危機に立つ。主権国家があり、その国家の権利を、他の何を措いても絶対視するかぎり、このような問題は永遠になくならないかもしれない。そう思わせる離脱です。


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