あっぱれ 『通販生活』

お客様大事の企業というのは、少々タチの悪いクレーマーとわかっていても、平謝りします。コトを荒立てたくないからです。ですから、傍目には卑屈というか、姑息なまでに恭順の意を示して、お客様は神様です、そういう姿勢を見せることがあります。

そういう一般的な風潮にあって、編集の方針を掲げて、理解を得られないようなら、もうお客様でなくなっても構いませんと開き直った雑誌がありました。一陣のさわやかな風ですね。

商品カタログ雑誌で知られる『通販生活』(カタログハウス社刊、年三回発行)は、16年冬号で読者の一部から届いた<抗議と購読取りやめ>の手紙に対して、以下のような「ご報告」を載せています。


戦争, まっぴら御免

原発、まっぴら御免

言論弾圧、まっぴら御免

沖縄差別、まっぴら御免

通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな「まっぴら」を左翼だとおっしゃるのなら、左翼でけっこうです。(中略・引用者)

永年のお買い物、本当にありがとうございました。



実は前の16年夏号で同誌は、「特集・7月参院選挙」と銘打ち「自民党支持の読者の皆さん、今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか」と呼びかけた記事を掲載しました。


tuuhan.jpg

同誌によると、これに反発した読者172人から届いた批判的意見を大別して
①買い物雑誌は政治的主張を載せるべきでない

②政治的記事を載せるのなら両論併記で載せるべきだ

③通販生活は左翼雑誌になったのか、、、という抗議を受け、なかには購読を中止する読者もあったという。

上に引用したのは、その③にあたる抗議についての回答です。腹のすわった見事な覚悟ですね。

『通販生活』は、良質の電化、衣類、家庭用品などを紹介、販売しています。たとえば一つの分野から一商品だけを紹介するのが特徴で、網羅的になんでもかんでも載せる他のカタログとは違います。

バックナンバーを見ればよくわかりますが、これまでも反原発、反安保法制、民主主義や環境を守る問題などで積極的に掲載しています。人々の暮らしと命を守るための、ごくまっとうな記事や対談ばかりです。永年の読者なら、そのスタンスを承知しているものと思っていましたが、これを偏向という意見を持つものがいるとは!?。

人は政治の影響をもろに受けて暮していますけれど、どういうわけか、政治的な意見を立場の表明には黙っているか、あいまいな態度をとりがちです。政治や宗教はパーティの話題にしないという暗黙の約束が欧米ではあるそうですが、この種の話題は党派性や排他性が強く、かんかんがくがくの議論に陥る可能性がありますので、避けたいという配慮でしょう。狭い人間関係なら、そうであっても、公益性、公共性がある雑誌は違います。

①の抗議に対して同誌は、「音楽に政治を持ち込むな」と同じような意見になるのかなと回答。②については、「対立する異論を理解し合う形式」として実行してきましたが、憲法学者の9割が違憲としたほどの「安倍内閣の集団的自衛権の行使容認に関する決め方」は両論併記以前の問題と考えたとしています。

抗議している人たちの手紙の文面が紙面に16通紹介されていますが、共通した論調は通販雑誌なら通販記事だけにしろ、政治的偏向だというものです。これは女は女らしく、芸人は芸人らしく、分相応に、らしくやれとか、主流に反する異見は、みんな偏向だとする考え方と同じです。たぶん神前結婚し、クリスマスを祝い、仏式葬儀を行う柔軟な人たちにして、このかたくなな主張です。

サラリーマンも家庭の主婦も八百屋さんも豆腐屋さんも濃淡の差があっても政治的な意見を持っています。パーティの約束のように口に出していわないのは、日常の人間関係の利害をおもんばかる風土が、この国に強くあるからです。政治的なメッセージが満載のボブ・ディランの歌は快く聴いておりながら、、。

『通販生活』の意見紙面というのは、たとえて言えば、ジョージ・クルー二―が熱心な民主党支持を明言し、オバマ大統領選挙を積極的に支援したり、ロバート・デ・ニーロが「トランプはペテン師、顔を殴ってやりたい。ヒラリーに投票を」とインタビューで発言する政治的自由を、実践しているのに過ぎない。

『暮しの手帖』は商品テストをやって業界から風当たりを強く受けました。『通販生活』は、国民の安全安心を案じていることで政治的偏向だと言われています。まったく的外れな指摘と受け止めて編集方針を説明しています。

カタログハウスの経営者は社民党に親和性をもっているようですが、ここに挙げられた「まっぴら御免」のすべては、まったく当たり前の正当な考えです。読者への適切な対応に感心しました。

(写真はGoogle引用)

コメントの投稿

非公開コメント

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
プロフィール

tajifu

Author:tajifu

ブログ内検索
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる