メリル・ストリープ讃

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お気に入りの女優の一人にメリル・ストリープがいます。今回は、素晴らしいスピーチで、存在感を発揮するとともに、あのトランプに一矢報いました。

今年も四回目にあたるゴールデングローブ賞のうちの特別功労賞を獲得しました。アカデミー賞でも主演・助演を含めて3回受賞しています。名実ともにアメリカ映画界が誇る大物女優です。(*1)

その彼女がGクラブ授賞式でのあいさつで、トランプ次期大統領の名指しを避けながらも、トランプの「弱者いじめ」を痛烈に批判しました。(*2)障害のあるNYタイムズ記者の障害をジェスチャーで真似をして記者を蔑んだトランプの行為を取り上げて、スピーチしました。

権力者が公の場で他者をばかにしようとする衝動に身をゆだねてしまえば、あらゆる人たちの生活に波及します。人々に同じことをしてもいいと、許可を与えることになるからです。

侮蔑は侮蔑を招きます。暴力は暴力をあおります。権力者が立場を利用して他人をいじめれば、私たちはみな負けるのです。いいわ、やりたければどうぞ続けてみなさい。



ハリウッドは伝統的にリベラルで、民主党びいきが多いですから、多くの著名スターが大統領選のさなかにもかかわらずトランプ批判の声を上げています。彼女の発言も根はトランプ嫌いにあるのでしょうが、指摘していることは、まったく良識ある内容です。政治的立場を超えて、普遍的な人権尊重です。

これに対してトランプはすぐにツイッターの波状攻撃で、次のように反応しました。(*3)

大敗したヒラリーの追従者だ。もう100回くらいは言っているが、私は決して障害のある記者を「ばかにした」ことはない(決してそうするつもりはなかった)。

メリル・ストリープは、ハリウッドで最も過大評価された女優の一人で、私のことをよく知らない。それなのに、昨夜のゴールデン・グローブ授賞式で、私を非難した。



誰が読んでも勝負あったと思います。追従者を「腰ぎんちゃく」、過大評価を「買いかぶり」と訳すニュースもありました。それが真意でしょう。トランプの口汚い悪態にうんざりさせられます。

しかも、アメリカ人なら誰もが知っていることは、トランプはなんと一昨年8月には雑誌のインタビューに、メリル・ストリープのフアンだと言っていたのですから、その卑怯な変わり身の呆れます。(*4)

トランプ氏、メリル・ストリープのファンだった 「素晴らしい女優。人としても立派だ」。2015年8月、ハリウッド・リポーター誌のインタビューで「お気に入りの女優はいますか」と質問された時、トランプ氏はジュリア・ロバーツと共にストリープの名を挙げた。



ハリウッドの大物俳優、ジョージ・クルーニーはメリル・ストリープの発言を賛同、擁護して、こう述べています。(*5)

彼がすべてを破壊しないことを願うばかりです。現実は、彼がまともな仕事をしてくれることを願わなければならない。もしアメリカが失敗したら、とてもおそろしいことが起こります。だからそうならないように信じなければならない。



自由な女優の的確な発言にしろ、トヨタのメキシコ進出工場の件にしろ、気に入らない相手に対して猛烈な攻撃を加え、逆らう相手には代償を吹っ掛け、強権で威圧するトランプのようなやり方でアメリカがほんとに活力を取り戻すのか。

アメリカに独裁者はなじまない。こんな人物を大統領の選んだアメリカの近未来は、政治、経済、社会のすみずみまで大変なことになりそうな予感がします。向こう4年の任期を全うできるのかさえ案じられます。黒人大統領が登場したときと比べても、物理的な危険にさらされるのではないかと危惧します。

また、トランプを支持した白人中・小産階級の人々は、まもなくトランプが「お金持ちのお金持ちによるお金持ちのための政治」しか行わないことに気づくと、裏切られた失望感から反乱を起こすかもしれない。

トランプによって分断され、対立するようになったアメリカ国民は、ニクソン大統領のときのような弾劾を求める事態を招くかもしれない。

ニクソンは再選に当たり不正を指揮した容疑だったが、トランプの場合、ロシアはじめ複数の国でビジネスにからみアメリカの国益に反する商行為をやった疑いやロシアでの異常なセックス・スキャンダルが噂されています。

国民感情の分断化については、すでにカリフォルニア州独立運動なるキャンペーンが起きていると伝えられます。シリコンバレーの起業家が提唱して「合法的な運動をしよう」と。財政規模ではイタリアより大きく、人口ではカナダよりも多い州ですから、冗談にしろ面白い。(*6)

それにしても、今回の大統領選の結果は、全米投票総数ではヒラリー・クリントンが2百万票超も上回っているのに、選挙人獲得数ではトランプが勝っています。

日本はじめ他国の選挙制度にならえば、ヒラリーが勝っています。投票数という民意が、選挙人制度という壁で屈折してしまうという、けったいな選挙制度について,当のアメリカ人たちは、どう考えているのか。

なんでも選挙人制度というのは、広大な国土で情報伝達の手段に乏しく、候補者の選挙公約や施策が行き渡らなかった西部開拓時代の名残りだそうだが、いまや民意が直接反映されない、世にも不思議な選挙制度を後生大事にしているのは、どういうわけなんだろうか。

(写真はGoogle画像検索から引用)

*1 「クレイマー・クレイマー」(助演賞)、「ソフィーの選択」、「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」(主演賞)。ノミネートは十数回もある。
*2 2017年01月10日 毎日新聞電子版 M・ストリープ、Gグローブ賞でのスピーチ全文
               http://mainichi.jp/articles/20170110/k00/00e/040/236000c
*3 2017年01月10日 ハフィントン・ポスト http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/09/trump_n_14068202.html
*4 2017年01月10日 ハフィントン・ポスト http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/10/trump_n_14097588.html
*5 2017年1月11日 BAZAAR ジョージ・クルーニー、トランプ氏批判をしたメリル・ストリープに賛同
               http://harpersbazaar.jp/celebrity/george-clooney-backs-meryl-streeps-golden-globes-speech-170111
*6 2017年01月12日 ブログ「単調な毎日に刺激を」 カリフォルニア州がアメリカ合衆国から独立?実現の可能性は?
               http://www.sabarism.net/entry/california-secede-from-us

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