マエハラの怪

こんど民進党のトップに就任したマエハラって、どんな人物か。

旧民主党結成の時からの生え抜きで、短い期間だが、すでに党代表になったほか、政権時代には国交相や外相など要職を歴任しています。しかし、どんな政治的業績があったのか、いまいちはっきりしない。キャリアからして、知名度は多少あるものの、その考えや理念がよくわからない,というか、理解しにくい。

すったもんだの末、船出したら、いきなりヤマオ・シオリ絡みの人事でつまずいた。党いちばんの花形をかばうわけでもなく、離党届をあっさり受理してしまった。あれとこれとは次元が違う話という大人の抗弁もしない。

来月には衆院補選が三選挙区であるというのに、なんともお粗末な船出とあって、これではアベ政権に対して反転攻勢といった勢いがありません。

そもそもマエハラという政治家は、これまでの言説やエダノと争った代表選の論点などから、はっきりしていることは、重要なポイントでは自公政権の対抗軸になる気がないようです。政権奪取を図るという大望が感じられない。野党の指導者という気迫や情熱が感じられない。

それが最もうかがえるのは、この国の憲法問題や安全保障面の考え方にあります。つまり、彼の持論は

一、改憲論者で自衛隊を憲法上で明記する、     (現政権と同じ)
一、従って集団的自衛権の行使もやむえないこと、 (安保法制容認)
一、対米重視。                     (現政権と変わらぬ姿勢)
一、中国の脅威論者で、防衛力強化に寛容であること。  (現政権と同じ)

こう並べると、自民党の考えとと変わりがない。こういう考え方の持ち主なら、なんで初めから自民党から出馬しなかったのか、不思議でならない。

もともと京大教授、高坂正尭に師事して、そのススメで松下政経塾を経て政治家へ。高坂は昭和後期の國際政治学者で、現実主義的な保守の論客の第一人者、自民党の政策ブレーンでもありました。道筋から言っても自民党で歩むのがふさわしい。

そういえば、絶頂期でもてはやされていたころの維新のハシシタに共感をしめし、連携を探ったと見られる過去もあります。今回も維新へ連携を持ちかけた話が伝えられています。野党の立場からすれば、維新は自公政権の補完勢力にすぎない活動をしているにもかかわらず、です。

ALL for ALL。これがマヘハラがアピールしている目玉政策。消費税を増税した税収を雇用や社会保障に回す。みんなのためにみんなが、、という仕組み。5%,8%と消費税を上げた自公政権も、値上げ理由は同じだった。ところが、大企業の法人税を下げたり、防衛装備に充当して、結果的にはウソをついています。消費税増税論者はカネ集めに熱心だが、いったん取り込むと、本来の趣旨とは逸脱します。、.

いずれにせよ、マヘハラは革新性がきわめて薄い立ち位置です。こうした人物が再び代表に選ばれるところに民進党の曖昧さが目立ちます。政権批判、政権打倒を目指さない野党って、なんのための野党なのか、存在理由がとぼしい。

民進党は下野してから低迷の一途。比較的、支持者が多かった東京や大阪など都市部でも国政、地方議員は壊滅的状況にあり、近年は各種の世論調査で常に5%前後の支持率しか得られていない。彼は草分け期から深くかかわり、衰退の推移を身をもって体験してきたはずなのに、党勢浮揚のために努力した実績が見られない。

民進党に望まれている最大の期待感というのは、健全な二大政党化の一翼を担い、民主主義によって政権交代を可能とする政治システムの構築にありましたが、自公勢力に比べて、あまりにも非力になってしまった。仮に足元から揺らぐアベ政権の敵失にに乗じて、議席を10や20増やすことができたとしても、政治的動向に大きな変化はない。

国民にとって重大関心事である憲法問題で自公改憲勢力を阻む力にならない。彼は前述のように改憲論者であるから、この点では、大筋では自公と争点化するつもりがない。ですから、「改憲阻止」を最大の共通点とする「野党共闘」に乗り気でない。

この6月にも4野党党首が合意した「九条改悪阻止」や衆院選候補者の調整といった戦略を「見直す」と公言しています。9条論では加憲論者であり、共闘面では共産党排除論者であります。

支持率がひとケタばかりの4党でさえ、過去の国政選挙の選挙区ごとの得票率を合わせれば、自公を上回っているところ、互角であるところがほとんど。だからこそ小異を捨てて大同につく統一戦線が喫緊の課題なのですが、それを敢えて取り組まないとするなら、政権に対する対抗軸を手放したと同然ではないか。

一体、民進党は、執行部を総替えしただけで、どれだけのノビシロがあるというのだろう。マエハラが自公と違う点といえば、経済政策で所得格差の是正と社会保障面の充実を強調している点ですが、この面では、現政権は対応策で争点ずらしができます。

現政権の対峙する理念も戦略も示せないようでは、与野党が政権交代を可能にする二大政党化の確立は、夢のまた夢です。

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