格差と分断

このほど来日したユニセフ(国連児童基金)のアンソニー・レーク事務局長が、日本のこどもに広がる貧困について言及していました。ユニセフが「豊かな国」日本の「貧しい現実」に懸念を表明するのは、異例のことではないかと思います。たしか児童ポルノ野放し日本については警告を発していた覚えがありますが、、。

ながくユニセフ・サポーターをしていますが、今回の発言のようなことを聴くと、「ついに」、というか、「とうとう」、というか、国際社会が日本の恵まれない境遇にいるこどもたちに危惧をいだくまでになったか、という思いがします。アベノミクスが到達した負の真実です。

アベ政権下で広がる経済的格差、社会保障のひずみから、多くのこどもたちが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)が危機に瀕しています。日本のこどもたちの6人に1人が貧しく、勉強する機会や就職するためのスキルを学ぶチャンスを奪われています。貧困家庭育ちが、次世代の貧困家庭を再生産しています。(*1)

ユニセフは、国連機関で唯一、こどもたち(母親を含む)の物心の豊かさ、幸せを目指すことを目的に設立されています。元はと言えば、先の大戦で荒廃したヨーロッパの国々で犠牲になった恵まれない子供たちの援護から始まり、やがて動向は世界に拡散してゆき、戦後、廃墟になった日本でもユニセフ物資の配給を受けました。その恩恵を覚えている年配の方々は少なくありません。

いまのユニセフは、先に豊かになったけれど、まだ少数派の先進国、、、、先進国クラブといわれるOECD加盟国は35ヵ国にすぎません、、、が、160ヵ国超の多数派の開発途上国で生活困窮する母と子の生命と生活のあらゆる面を救済する機関として活動しています。

十数年もまえ、文化勲章受賞の文化人類学者、梅棹忠夫さんが、こんなことを語っていたと聞いたことがあります。「いまの国連機関で本当役立っているのは、ユニセフと国連難民救済高等弁務官事務所(UNHCR)くらいだ」と。

じっさい、国連設立いらいも、十数年まえからも、たとえば安保理なんか、肝心要の「国際社会の平和」を守る監視の役目をいっこうにはたせないまま、形式的議論の場に陥ったままです。ユネスコ(国連教育科学文化機関)なんか、世界遺産の認定というような各国の遺産に屋上屋を架する、どうでもいい認定をやっています。

2017年版の「世界子供白書」の発表のために来日したアンソニー・レーク事務局長は、先進国のなかでは高い生活水準にあるとされる日本のなかで、子どもの貧困率について、こう述べています。

「日本のおよそ16%の子どもが深刻な貧困状態にあります。SDGsの下で、豊かな社会において子どもが飢えや格差に苦しむことがあってはなりません」、「相対的な貧困はどの社会にも存在しますが、その原因の多くは医療と教育の不平等にあります」

「SDGs」とは2年まえ国連加盟国(193国)のすべてが、より良き将来を実現するために今後15年かけて極度の貧困、不平等・不正義をなくし、私たちの地球を守るための計画「アジェンダ2030」を採択したことをさします。この計画の頭文字、Sustainable Development Goals: SDGs(持続可能な開発目標))のことです。

ユニセフはSDGsのもとで、いろいろな指標、つまり、15才以下の子どもの「貧困」、「健康」、「教育」、「栄養」、「格差」などの現状を調査していますが、その主要指標での日本の順位は下記のとうりです(調査国は41ヵ国)。総合では12位、アジアでは韓国が8位です。(*2)

「栄養」・・・1位
「就労」・・・1位
「健康」・・・8位
「教育」・・・10位
「貧困」・・・23位
「格差」・・・32位

栄養や就労がトップなのは、他国にくらべて少子化の影響で相対的に数がすくないための結果と見られていますが、ろくに三度の食事がとれないこどもがたくさんいます。アベノミクスは金持ちと大企業をさらに豊かにしましたが、貧困家庭を潤していません。その結果、社会階層を貧富で分断する格差が進んでいます。

いまや豊かな家庭の子は進学でき、職業を選ぶ選択肢を広げられ、社会の指導的立場を得られやすくしてますが、貧しい家庭の子は、スタートから機会を奪われているという不公平、不平等が常態化しています。

制服が買えず、中学に不登校になるこども、インスタントラーメン一袋が夕飯の母子家庭。母子家庭では2人に1人が困窮化しています。「美しい国」とやらを目指すアベ政権の白々しい成果です。

昨夜、たまたま読んでいた新聞に女優、薬師丸ひろ子さんの最新映画へについてのインタビュウ―がのっていました。薬師丸さんはこんな問題意識を漏らしています。

「日本という国が、どうなっていくのか。どこに向かっていくのか。どんな価値観を大事にしていくのか(中略)」、「なぜこの国で満足に食べられない子がいるのか。介護に疲れ切っている人がいるのはなぜか(中略)」(*3)

国家が存在する最高の理由は、その「国民の健康で豊かな暮らしを守るため」であって、経済も外交も国防もすべては、そのために奉仕するものでなければならないと考えています。

ユニセフに指摘される子供の貧困について、為政者のアベは恥じなければなりません。薬師丸さんが口にするような懸念は、実は多くの国民が抱く共通の問題であると思っています。子供たちの未来を閉ざす。その一方で富国強兵を目標にするアベコベ志向はいつまで続くのか。


*1 内閣府 27年度版子供・若者白書

*2  ・ユニセフ2017年版世界子供白書
    ・12月14日NHK ユニセフ事務局長 日本の子どもの貧困率に懸念
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171214/k10011258011000.html

*3  2017年12月18日 毎日新聞夕刊 映画「8年越しの花嫁」で母親役、薬師丸ひろ子さん

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